久しぶりに本の記事です。
タイトルに「最近読んだ本」とぶち上げてみましたが、何読んだっけなぁ・・・(笑)
ブログの更新をサボっているだけで、本自体はそこそこ読んでいるのですよ(´Д`;)ヾ
ということで、印象に残ったものを挙げてみたいと思います。
一冊目。
『独白するユニバーサル横メルカトル』(平山夢明・光文社文庫)
「このミス一位」という帯に惹かれ、読んでみようと購入。
まぁミーハーなもので、「このミス」で選出された作品は、手当たり次第に読んだりしているのですが。
(「このミス」は、「このミステリーがすごい!」というタイトルの略で、宝島社が行っているランキングです)
さてこの本、表題も含めた短編集なのですが。
私が今まで読んだ本の中でも、一、二位を争うグロさだと申し上げましょう。
なんせ「怖くて痛い」です。
身体的に痛いもの、背筋がぞくっとするもの、気の弱い人なら吐き気を催すようなグロいもの、ありとあらゆる怖さ、痛さが目白押しです。
まかり間違っても「気分転換に読んでみよう!」という種類の本ではございません(゜▽゜;)
読めば「鬱々」とすること間違いナシ!!!
「このミス一位」ということで、本屋でも山積みになっている本ですが、果たして一般の読者が受け入れるのかどうか、本屋の店員ではありませんが本当に心配になってくるような内容です(笑)
「こんなものを薦めやがって、どうしてくれるんだッ!!」というクレームが来てもおかしくないと思うんですよね~(笑)
一応内容に関して、差しさわりのないところを述べますと、人の汚さや恐ろしさを淡々と述べるという語り口はどの作品も一貫しています。
ただ切り口がバラエティに富んでいますので、著者の平山氏の発想の豊かさに驚かされます。
表題の「独白するユニバーサル横メルカトル」というのは、タイトルそのままに「地図」が独白するというユニークさなんですが、語り手である「地図」の偏り具合がまた、淡々とした口調であるからこそ浮き彫りになってくるという恐ろしさ。
猟奇殺人犯のルポルタージュを読んでいるような空恐ろしさを実感できる本です。
なかなか面白いと思いますが、マニアでコアな本を(平均よりはかなり)読んでいる私でも、気分が悪くなったくらいですので、気の弱い方、気持ち悪いのが苦手な方は興味があっても読まないほうが良い気もします(汗)
二冊目。
『ユージニア』(恩田陸・角川文庫)
久しぶりの恩田作品です。
昔はよく読んでいたんですが、最近の著作にはあんまり興味が持てず敬遠気味でした。
が、話題作でしたし、文庫に落ちたら読もうと思っていたので手にしたわけです。
地元の名家で米寿のお祝いが開かれました。
そこで供された飲み物の中に毒が混入されており、17人が死亡。
生き残ったのはその家の盲目の娘だけ(厳密には家政婦もいますが)。
同じ部屋で17人もの断末魔の悲鳴をただ聞いていた少女は、一体何を思っていたのだろうか、それとも彼女が犯人なのか?
大昔に起こり、未だ犯人が分かっていない「名張ぶどう酒事件」を髣髴とさせる開幕です。
限りなくクロに近い人物が挙がってはいるものの、事件の真相が見えてこないという辺り、著者はこの事件を念頭において物語を作ったのかもしれません。
さてこの『ユージニア』、謎解き小説として期待して読むと肩透かしを食らいます。
著者が書きたかったのは、事件の真相ではなく、語り手によって七変化する「事件の見え方」なのでしょう。
もちろん「真相はこうだったのだろう」と推測することは可能ですが、果たしてそれが「真の真相」なのかは誰にも分かりません。
章ごとに入れ替わる証言者たちの言葉から、自分なりの解釈をひねり出していく作業は、なかなか面白いです。
モザイクのようにあちこちに欠片が散らばっているので、最後まで読むと、もう一度読み返したくなる、というか読み返さないと気が済まない、そんな小説です。
・・・・まぁ、そこまでしても「これが真相だ!!」と自信をもつことが出来ないような作りになっているので、本格推理を愛好する私としては、いささか消化不良気味ではあるんですが(笑)
探偵が犯人を突き止める、そんな小説では断じてない!!ということを理解した上でないとこの本を楽しむことはできません。
(もし確実に真相が暴けるような書き方をされているとしたら、それはそこまで読み取れなかった私の読解力不足です、スミマセン)
三冊目。
『天使のナイフ』(薬丸岳・講談社文庫)
江戸川乱歩賞受賞作ということで、鳴り物入りでミステリ界入りした薬丸氏のデビュー作です。
(江戸川乱歩賞は公募作品から選ばれる、ミステリ作家の登竜門的な賞です)
これも話題に上がっていたことは知っていたのですが、文庫になるまで待ちました(笑)
薬丸氏はデビュー前にシナリオの勉強などされていたようで、ストーリー展開に新人離れした巧さを持っていらっしゃいます。
まぁ、あれこれし過ぎかな??という感も無くはないのですが、逆にあれだけの要素をよくぞまとめた!!という賛辞もまたあるかと思います。
妻とまだ幼い子供を殺された男性が主人公です。
ある日、男性の元に犯人が捕まったという連絡が入ります。
しかし、その犯人は14歳に満たない少年三人。
改正された現行の刑法でも、14歳未満の少年の罪が問われることはありません。
家族を殺された怒りを、彼はどこへぶつければいいのか?
もちろん、これは主人公の復讐譚ではありません。
単なる復讐に終始するなら、これほどの高い評価も得られていないと思います。
一見復讐譚の様相を呈しているかに見えて、事態は思わぬ方向へと展開していきます。
様々な人間の過去が絡み合い、当初は予想も出来なかった結末が読者を待ち構えています。
括りとしては完全にエンターテイメント系なんですが、罪とは何か、更生とは何か、明日自分の身近に起こるかもしれない少年犯罪という重いテーマが圧し掛かってくる作品です。
今回挙げた三冊の中で、一番読みやすい本であるかとも思います。
と、まぁいつものようにネタばれのない程度でご紹介しますと、相変わらず読んでいない方には「なんのこっちゃ?」的な記事になってしまうのですが、興味をもたれた方は是非ご一読下さい。
意図したわけではないのですが、今回は三冊ともミステリ系の本になってしまいました(笑)
また他の本については改めてご紹介する予定です!
何かもっと「すげー!!」と思った本があったはずなんですよね~(゜▽゜;)(←思い出せない辺り、既に記憶力に問題アリ。
家中に散らばってる本をかき集めたら、「すげー!!」と思った本の正体も分かると思いますので、しばしお待ち下さい(笑)
タイトルに「最近読んだ本」とぶち上げてみましたが、何読んだっけなぁ・・・(笑)
ブログの更新をサボっているだけで、本自体はそこそこ読んでいるのですよ(´Д`;)ヾ
ということで、印象に残ったものを挙げてみたいと思います。
一冊目。
『独白するユニバーサル横メルカトル』(平山夢明・光文社文庫)
「このミス一位」という帯に惹かれ、読んでみようと購入。
まぁミーハーなもので、「このミス」で選出された作品は、手当たり次第に読んだりしているのですが。
(「このミス」は、「このミステリーがすごい!」というタイトルの略で、宝島社が行っているランキングです)
さてこの本、表題も含めた短編集なのですが。
私が今まで読んだ本の中でも、一、二位を争うグロさだと申し上げましょう。
なんせ「怖くて痛い」です。
身体的に痛いもの、背筋がぞくっとするもの、気の弱い人なら吐き気を催すようなグロいもの、ありとあらゆる怖さ、痛さが目白押しです。
まかり間違っても「気分転換に読んでみよう!」という種類の本ではございません(゜▽゜;)
読めば「鬱々」とすること間違いナシ!!!
「このミス一位」ということで、本屋でも山積みになっている本ですが、果たして一般の読者が受け入れるのかどうか、本屋の店員ではありませんが本当に心配になってくるような内容です(笑)
「こんなものを薦めやがって、どうしてくれるんだッ!!」というクレームが来てもおかしくないと思うんですよね~(笑)
一応内容に関して、差しさわりのないところを述べますと、人の汚さや恐ろしさを淡々と述べるという語り口はどの作品も一貫しています。
ただ切り口がバラエティに富んでいますので、著者の平山氏の発想の豊かさに驚かされます。
表題の「独白するユニバーサル横メルカトル」というのは、タイトルそのままに「地図」が独白するというユニークさなんですが、語り手である「地図」の偏り具合がまた、淡々とした口調であるからこそ浮き彫りになってくるという恐ろしさ。
猟奇殺人犯のルポルタージュを読んでいるような空恐ろしさを実感できる本です。
なかなか面白いと思いますが、マニアでコアな本を(平均よりはかなり)読んでいる私でも、気分が悪くなったくらいですので、気の弱い方、気持ち悪いのが苦手な方は興味があっても読まないほうが良い気もします(汗)
二冊目。
『ユージニア』(恩田陸・角川文庫)
久しぶりの恩田作品です。
昔はよく読んでいたんですが、最近の著作にはあんまり興味が持てず敬遠気味でした。
が、話題作でしたし、文庫に落ちたら読もうと思っていたので手にしたわけです。
地元の名家で米寿のお祝いが開かれました。
そこで供された飲み物の中に毒が混入されており、17人が死亡。
生き残ったのはその家の盲目の娘だけ(厳密には家政婦もいますが)。
同じ部屋で17人もの断末魔の悲鳴をただ聞いていた少女は、一体何を思っていたのだろうか、それとも彼女が犯人なのか?
大昔に起こり、未だ犯人が分かっていない「名張ぶどう酒事件」を髣髴とさせる開幕です。
限りなくクロに近い人物が挙がってはいるものの、事件の真相が見えてこないという辺り、著者はこの事件を念頭において物語を作ったのかもしれません。
さてこの『ユージニア』、謎解き小説として期待して読むと肩透かしを食らいます。
著者が書きたかったのは、事件の真相ではなく、語り手によって七変化する「事件の見え方」なのでしょう。
もちろん「真相はこうだったのだろう」と推測することは可能ですが、果たしてそれが「真の真相」なのかは誰にも分かりません。
章ごとに入れ替わる証言者たちの言葉から、自分なりの解釈をひねり出していく作業は、なかなか面白いです。
モザイクのようにあちこちに欠片が散らばっているので、最後まで読むと、もう一度読み返したくなる、というか読み返さないと気が済まない、そんな小説です。
・・・・まぁ、そこまでしても「これが真相だ!!」と自信をもつことが出来ないような作りになっているので、本格推理を愛好する私としては、いささか消化不良気味ではあるんですが(笑)
探偵が犯人を突き止める、そんな小説では断じてない!!ということを理解した上でないとこの本を楽しむことはできません。
(もし確実に真相が暴けるような書き方をされているとしたら、それはそこまで読み取れなかった私の読解力不足です、スミマセン)
三冊目。
『天使のナイフ』(薬丸岳・講談社文庫)
江戸川乱歩賞受賞作ということで、鳴り物入りでミステリ界入りした薬丸氏のデビュー作です。
(江戸川乱歩賞は公募作品から選ばれる、ミステリ作家の登竜門的な賞です)
これも話題に上がっていたことは知っていたのですが、文庫になるまで待ちました(笑)
薬丸氏はデビュー前にシナリオの勉強などされていたようで、ストーリー展開に新人離れした巧さを持っていらっしゃいます。
まぁ、あれこれし過ぎかな??という感も無くはないのですが、逆にあれだけの要素をよくぞまとめた!!という賛辞もまたあるかと思います。
妻とまだ幼い子供を殺された男性が主人公です。
ある日、男性の元に犯人が捕まったという連絡が入ります。
しかし、その犯人は14歳に満たない少年三人。
改正された現行の刑法でも、14歳未満の少年の罪が問われることはありません。
家族を殺された怒りを、彼はどこへぶつければいいのか?
もちろん、これは主人公の復讐譚ではありません。
単なる復讐に終始するなら、これほどの高い評価も得られていないと思います。
一見復讐譚の様相を呈しているかに見えて、事態は思わぬ方向へと展開していきます。
様々な人間の過去が絡み合い、当初は予想も出来なかった結末が読者を待ち構えています。
括りとしては完全にエンターテイメント系なんですが、罪とは何か、更生とは何か、明日自分の身近に起こるかもしれない少年犯罪という重いテーマが圧し掛かってくる作品です。
今回挙げた三冊の中で、一番読みやすい本であるかとも思います。
と、まぁいつものようにネタばれのない程度でご紹介しますと、相変わらず読んでいない方には「なんのこっちゃ?」的な記事になってしまうのですが、興味をもたれた方は是非ご一読下さい。
意図したわけではないのですが、今回は三冊ともミステリ系の本になってしまいました(笑)
また他の本については改めてご紹介する予定です!
何かもっと「すげー!!」と思った本があったはずなんですよね~(゜▽゜;)(←思い出せない辺り、既に記憶力に問題アリ。
家中に散らばってる本をかき集めたら、「すげー!!」と思った本の正体も分かると思いますので、しばしお待ち下さい(笑)
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ああ、どれも面白そう(涎)。
特に一冊目は、ぜひ挑戦してみたいですねぇ~w
残念ながら、3月いっぱいまで、「のんびり読書」も
おあずけになりそうです。うう。
人を選ぶ類の小説ですが、紗奈さんならだいじょーぶッ!!!
それにしても3月一杯まで読書はお預けですか・・・・(;´д⊂)
そりゃそうですよね、あのスケジュールじゃ(汗)
頑張ってお説教してきて下さいね~!!
ハッタリをかますんですよハッタリをッ(←普段の授業風景が想像できるコメント(笑)
私はヒマヒマなので(笑)、心行くまで読書です。
といっても、すでに買う冊数に読む冊数が追いついてませんが(゜▽゜;)