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2024/03/29 14:20 |
最近読んだ本
久しぶりに本の記事です。

タイトルに「最近読んだ本」とぶち上げてみましたが、何読んだっけなぁ・・・(笑)
ブログの更新をサボっているだけで、本自体はそこそこ読んでいるのですよ(´Д`;)ヾ

ということで、印象に残ったものを挙げてみたいと思います。

一冊目。
『独白するユニバーサル横メルカトル』(平山夢明・光文社文庫)

「このミス一位」という帯に惹かれ、読んでみようと購入。
まぁミーハーなもので、「このミス」で選出された作品は、手当たり次第に読んだりしているのですが。
(「このミス」は、「このミステリーがすごい!」というタイトルの略で、宝島社が行っているランキングです)

さてこの本、表題も含めた短編集なのですが。
私が今まで読んだ本の中でも、一、二位を争うグロさだと申し上げましょう。
なんせ「怖くて痛い」です。

身体的に痛いもの、背筋がぞくっとするもの、気の弱い人なら吐き気を催すようなグロいもの、ありとあらゆる怖さ、痛さが目白押しです。
まかり間違っても「気分転換に読んでみよう!」という種類の本ではございません(゜▽゜;)
読めば「鬱々」とすること間違いナシ!!!

「このミス一位」ということで、本屋でも山積みになっている本ですが、果たして一般の読者が受け入れるのかどうか、本屋の店員ではありませんが本当に心配になってくるような内容です(笑)
「こんなものを薦めやがって、どうしてくれるんだッ!!」というクレームが来てもおかしくないと思うんですよね~(笑)

一応内容に関して、差しさわりのないところを述べますと、人の汚さや恐ろしさを淡々と述べるという語り口はどの作品も一貫しています。
ただ切り口がバラエティに富んでいますので、著者の平山氏の発想の豊かさに驚かされます。

表題の「独白するユニバーサル横メルカトル」というのは、タイトルそのままに「地図」が独白するというユニークさなんですが、語り手である「地図」の偏り具合がまた、淡々とした口調であるからこそ浮き彫りになってくるという恐ろしさ。

猟奇殺人犯のルポルタージュを読んでいるような空恐ろしさを実感できる本です。
なかなか面白いと思いますが、マニアでコアな本を(平均よりはかなり)読んでいる私でも、気分が悪くなったくらいですので、気の弱い方、気持ち悪いのが苦手な方は興味があっても読まないほうが良い気もします(汗)


二冊目。
『ユージニア』(恩田陸・角川文庫)

久しぶりの恩田作品です。
昔はよく読んでいたんですが、最近の著作にはあんまり興味が持てず敬遠気味でした。
が、話題作でしたし、文庫に落ちたら読もうと思っていたので手にしたわけです。

地元の名家で米寿のお祝いが開かれました。
そこで供された飲み物の中に毒が混入されており、17人が死亡。
生き残ったのはその家の盲目の娘だけ(厳密には家政婦もいますが)。
同じ部屋で17人もの断末魔の悲鳴をただ聞いていた少女は、一体何を思っていたのだろうか、それとも彼女が犯人なのか?

大昔に起こり、未だ犯人が分かっていない「名張ぶどう酒事件」を髣髴とさせる開幕です。
限りなくクロに近い人物が挙がってはいるものの、事件の真相が見えてこないという辺り、著者はこの事件を念頭において物語を作ったのかもしれません。

さてこの『ユージニア』、謎解き小説として期待して読むと肩透かしを食らいます
著者が書きたかったのは、事件の真相ではなく、語り手によって七変化する「事件の見え方」なのでしょう。
もちろん「真相はこうだったのだろう」と推測することは可能ですが、果たしてそれが「真の真相」なのかは誰にも分かりません。

章ごとに入れ替わる証言者たちの言葉から、自分なりの解釈をひねり出していく作業は、なかなか面白いです。
モザイクのようにあちこちに欠片が散らばっているので、最後まで読むと、もう一度読み返したくなる、というか読み返さないと気が済まない、そんな小説です。
・・・・まぁ、そこまでしても「これが真相だ!!」と自信をもつことが出来ないような作りになっているので、本格推理を愛好する私としては、いささか消化不良気味ではあるんですが(笑)

探偵が犯人を突き止める、そんな小説では断じてない!!ということを理解した上でないとこの本を楽しむことはできません。
(もし確実に真相が暴けるような書き方をされているとしたら、それはそこまで読み取れなかった私の読解力不足です、スミマセン)


三冊目。
『天使のナイフ』(薬丸岳・講談社文庫)

江戸川乱歩賞受賞作ということで、鳴り物入りでミステリ界入りした薬丸氏のデビュー作です。
(江戸川乱歩賞は公募作品から選ばれる、ミステリ作家の登竜門的な賞です)
これも話題に上がっていたことは知っていたのですが、文庫になるまで待ちました(笑)

薬丸氏はデビュー前にシナリオの勉強などされていたようで、ストーリー展開に新人離れした巧さを持っていらっしゃいます。
まぁ、あれこれし過ぎかな??という感も無くはないのですが、逆にあれだけの要素をよくぞまとめた!!という賛辞もまたあるかと思います。

妻とまだ幼い子供を殺された男性が主人公です。
ある日、男性の元に犯人が捕まったという連絡が入ります。
しかし、その犯人は14歳に満たない少年三人。
改正された現行の刑法でも、14歳未満の少年の罪が問われることはありません。
家族を殺された怒りを、彼はどこへぶつければいいのか?

もちろん、これは主人公の復讐譚ではありません。
単なる復讐に終始するなら、これほどの高い評価も得られていないと思います。
一見復讐譚の様相を呈しているかに見えて、事態は思わぬ方向へと展開していきます。
様々な人間の過去が絡み合い、当初は予想も出来なかった結末が読者を待ち構えています。

括りとしては完全にエンターテイメント系なんですが、罪とは何か、更生とは何か、明日自分の身近に起こるかもしれない少年犯罪という重いテーマが圧し掛かってくる作品です。
今回挙げた三冊の中で、一番読みやすい本であるかとも思います。

と、まぁいつものようにネタばれのない程度でご紹介しますと、相変わらず読んでいない方には「なんのこっちゃ?」的な記事になってしまうのですが、興味をもたれた方は是非ご一読下さい。
意図したわけではないのですが、今回は三冊ともミステリ系の本になってしまいました(笑)

また他の本については改めてご紹介する予定です!
何かもっと「すげー!!」と思った本があったはずなんですよね~(゜▽゜;)(←思い出せない辺り、既に記憶力に問題アリ。

家中に散らばってる本をかき集めたら、「すげー!!」と思った本の正体も分かると思いますので、しばしお待ち下さい(笑)
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2009/02/25 17:28 | Comments(1) | TrackBack() |
戦隊モノか!?
久しぶりに本のご紹介です。

もういい加減書いても影響ないと思いますので、カミングアウトしてしまいますと、(そしてココのブログをご覧の方は、関係者の方であったり、もしくは私から直に話を聞いていらっしゃる方も多いので、実はあまり気にする必要もなかったかなとも思いますが)、

4月に勤務先が倒産してたんですねーーーーッΣ(゜д゜|||)

ハイ(汗)。

んなもんで、突然ヒマになった私は、ゲームしたりテレビ見たりネットしたり、ゲームしたりテレビ見たりネットしたり、ゲームしたりテレビ見たりネットしたり・・・・、もういいですね(゜▽゜;)。

つまり、そんなぐうたらな毎日を送っておりまして。

そんな生活なら幾らでも本を読めるだろう!!とお叱りを受けそうなのですが、今までの私の生活パターンから言いますと、本を読むのは通勤時間(往復2時間くらいあるので、大抵の本なら問題なく読めてしまう(笑))、もしくは寝る前にベッドでというのが専らでして、通勤時間もなくなり、さらに朝起きることを心配しなくて良くなった最近は、変な時間までネットサーフィンしてしまうので、さすがにベッドに入ってから読む時間がなかったりで、自然に読書量が激減・・・・・(゜▽゜;)

でもそろそろ寂しくなってきましたし、現在の生活パターンにも慣れてきたので、また読書の量は増えてくるんじゃなかろうか・・・と勝手に思っています。

そんな今日この頃、ご紹介するのは「大娯楽小説」でございます。

二つのシリーズをご紹介しようと思うのですが、作者はどちらも今野敏(こんのびん)さんです。
デビューされてから30年、著作も100冊以上になるという作家さんなのですが、今年の4月まで、私は全く存じ上げない方でした。

著者略歴や解説などを読むと、様々なジャンルのエンターテイメント小説をお書きになっているようなのですが、今回はいわゆる「警察小説」といわれるものにスポットを当ててみたいと思います!

「警察小説」というのは、分類としてはミステリに入るのですが(ちなみに私は『ミステリー』ではなくて一貫して『ミステリ』と表記しますが、どちらも広義では同じモノを指しています。ただ本格推理関連では『ミステリ』と表記することが多いようです)、名探偵が卓抜した論理力によって真犯人を突き止めたり、設定が孤島や孤立した屋敷になっていたりする、いわゆる「パズラー」といわれる本格推理とは異なり、普通の警察官や刑事が主人公となって、その組織力と地道な捜査によって犯人を追い詰め、また事件設定も現実的な範疇である、という辺りに特徴があります。

また、警察内部の描写が克明である事も警察小説に欠かせない要素だと思われます。


代表的な作品としては、松本清張『点と線』、高村薫『マークスの山』など、また未読ですが横山秀夫『半落ち』なども「警察小説」に分類されると思います。

しかし警察官が主人公であれば警察小説なのかというと、その辺りは微妙らしく、西村京太郎の代表的なキャラクターである十津川警部・亀井刑事のシリーズなどは、時刻表などのトリックの解明に焦点が当てられている場合が多いので、あまり警察小説とは言わないようです

さて、例の如く前置きが長くなってしまいましたが、本題の今野敏氏の作品のご紹介です。


一つ目は、「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズ (新潮文庫)
現在文庫では『リオ』・『朱夏』・『ビート』という三作品が発刊されています。

主人公は、警部補の樋口顕、40歳。
妻と高校生の娘の三人家族。
派手なスタンドプレーを嫌い、コツコツと真面目に働くのが信条。

強行犯係というのは、殺人や強盗などの凶悪犯罪を担当する部署です。

樋口はとにかく真面目が取柄の人間で、押し出しの強い人種が集まっている刑事の中では、異例なほどに謙虚な人間でもあります。
個人のプライドよりも効率を優先することを考え、摩擦を嫌うが故に、結果として確実な捜査を行ってしまうため、警察内部では皮肉にも「樋口に任せて置おけば大丈夫」という信頼感を寄せられていたりします。

この樋口っていうのが、まあ文字通り地味でつまらない性格なんですね~(笑)
で、せっかく信頼を得ているというのに、内心では「そんなに自分を買被ってもらっては困る。そんな大それた人間ではないのに」とか、「失敗しないのは、自分が人よりも臆病だからだ」とか、「そういう風になってしまったのは、自分が全共闘時代の人間の後始末ばかりをやらされてきた、損な世代の人間だからだ」とか、いちいち鼻につくような後ろ向きなことばっかり考えている

ハッキリ言って、こんな後ろ向きなモノローグが全編に亘って「コレでもかッ」というくらいに繰り返されるので、読んでいる身としては「おいおいおいおい、またですか・・・・・_| ̄|〇」という食傷感にさいなまれたりするのです。

で、じゃあ何でそこまで思うのに、三冊も読んだのかといいますと、やっぱり面白いんですね(笑)

樋口というのは、一見警察組織にはいなさそうな、いわゆる人畜無害に見える人間なので、相手も安心するのか、聞き込みや取調べで魔法を使ったかのように、重要な証言をいとも簡単に取ってしまったりする。
そのあたりの描写がうまい具合に挟み込んであるので、「おい樋口、いい加減にしろよッ!!」と散々溜まっていたフラストレーションが、「お、やるじゃないか樋口」と一瞬で解消させられてしまう→スッキリする、という絶妙なスパイラルにはまり込んでしまうわけです(笑)

もう、水戸黄門の印籠みたいなもんです((((゜Д゜;))))

また、樋口の相棒に生活安全課の氏家という人物が登場するのですが、この氏家が私のツボ(*´Д`*)
飄々としていて、押さえるべきところはしっかり押さえ、時には樋口を叱咤し、しかも独身30代。
もうカッコイイのなんのって(笑)
ハッキリ言って、氏家がいないとこのシリーズは読めたもんじゃない、というか、そのあたりのメリハリを考えて今野氏が造形したキャラだといえるわけで、まんまと作者の罠にはまっているのです(´Д`;)ヾ

こんなつまらない樋口警部補なわけですが、二作目の『朱夏』では、空気のような存在だと思っていた妻が事件に巻き込まれ、今までの妻に対する自分の対応や、これまでの生き方を否応なしに考えさせられるという展開になっておりまして、散々イライラさせられた一作目の読者には、「おぉ、樋口もやっと人間らしくなったか」という爽快感が与えられるというオチになっていたりします。

一言で言えば、この作者の今野敏氏が「ウマイッ」のです。
エンターテイメント小説とは何かを知り尽くしている作家さんだと思います。


そして二つ目は「ST 警視庁科学特捜班」シリーズ (講談社文庫)
こちらも、同じく警察小説ですが、前作と毛色が全く違います。

若手キャリアの百合根友久警部が主人公、というか、彼の視点で物語は進められていきます。
この百合根警部が、先ほどの樋口に負けず劣らず「イラッ」とさせられるヤツでして(笑)
一言で言うと「ヘタレ」です(;´д⊂)

この百合根がキャップとなっているのが本作の真の主人公である「警視庁科学特捜班」通称「ST」です。

科学的な観点から捜査に協力する部署なのですが、従来の鑑識などとは異なり、捜査現場にどんどん出て行くことを目的に創設された部署でして、このメンバーが一癖も二癖もある面々です。

リーダーであり、法医学を専門とする赤城左門
本人は一匹狼を気取っていますが、自然に人が回りに集まってしまい孤独なポーズが空回りしてしまう、女性恐怖症のワイルドな男。

文書鑑定やプロファイリングを専門とする、心理学者の青山翔
極度の秩序恐怖症で混沌を好む、超絶美形
但し、メンバー随一のマイペース人間であり、KYな一面も多々。

薬学が専門の山吹才蔵
得度している僧侶でもあり、宗教的・神秘的な事項にも明るい。
メンバーの中では最も常識的な人物。

化学物質全般を専門とする黒崎勇二
必要なことすら喋るのか怪しいほどの極端な無口。
武道の達人で、超人的な嗅覚を持つ

音響が専門の紅一点、結城翠
過剰な露出ファッションに身を包セクシーな美女
姿の見える範囲なら、喋っていることが聞こえてしまう地獄耳の持ち主


・・・・とまあ、人間離れしたメンバーが集まっており、悲しいほどの常識人である百合根は、彼らの言動に一々翻弄されてしまうのですが、私が何より受けたのは、彼らの名前。

赤・青・黄(山吹)・黒・緑(翠)、と見ればもうお分かりですね。
名前といい、性格付けといい、ゴレンジャーから綿々と続く「戦隊モノ」のパロディーになってるわけです(笑)
残念ながらピンクではありませんが、紅一点(最近は女性2人という構成があるそうですが・・・)という構成も戦隊モノそのまま。
それぞれが専門分野において一流であり、超人的な能力を持つという常人離れした設定も、この戦隊モノを踏まえているとなれば納得できてしまうというもの。

しかも、一話一話の犯人は捕まりますが、その裏で暗躍している、シリーズを通しての大ボスが存在している辺りもなかなか心憎い設定です。

このシリーズはまだ三作ほどしか読んでいませんが、この先メンバーそれぞれをメインにした話が存在しているようで、彼らがどのように能力を駆使して真相に迫っていくのか、今から読むのが楽しみです。

イライラ感は、樋口シリーズよりもかなり少ないとはいえ、正直百合根警部がウザったいのですが(笑)、まあ彼は狂言回しの役割ですし、STの面々を際立たせるための一般人として登場していますので、その辺りを割り切れば、結構な爽快感を得られる小説です。

警察小説って、数的にもありそうでなかなか見つからないジャンルですし、どうしてもハードボイルド的な要素が入ってきたりして、特に女性は手を伸ばしにくかったりするのですが、STシリーズは純粋な娯楽小説として本当に楽しめると思います

今野敏氏は、今密かなブームになっていますので(本当です(笑))、そのうちドラマ化なんかもあるかもしれません!
流行を先取りしたい方も、次は何のミステリを読もうかと悩んでいる方も、今野敏はお勧めですよ~♪

2008/06/30 18:24 | Comments(1) | TrackBack() |
読書三昧 その2
先日読んだ本の紹介、第二弾です。

三冊目は、ちょっと話題になっていて気になっていた本。
『ホームレス中学生』に続き、私としては異例のタレント本です。

『本業』 浅草キッド 水道橋博士著 (文春文庫)

ただ、この本はいわゆるタレント本ではなく、芸能人である著者が、タレント本を批評するという、一風変わった趣向を持っています。

紹介されているのは、タレント本界のベストセラー矢沢永吉に始まり、「ネタ本」としての印象の強いガッツ石松本、果ては数年前に大騒動を起こしたチリ人・アニータの本までΣ(゜д゜|||)、総勢50冊(名)。
(アニータって本出してたんですね・・・・・たくましい(゜▽゜;))

この水道橋博士氏、なかなか突っ込みどころも鋭く、文章も巧いので、紹介されている本を一冊も読んでいなかった私でも、面白く読めました。

著者自身が芸能人であるという立場を活かした「楽屋裏」バナシにも触れられていますし、文庫版の特典として最新の動向も載せられているので、ワイドショー的な興味も満たしてくれます(笑)

何より、「タレント本とは『膨大で払いきれない有名税に対するタレント本人による青色申告所』である」、という著者の定義が秀逸。
前書きだけでも面白いのではないかと思いました。


四冊目と五冊目は一緒に。

ここずっと取り上げられている、「公務員」についての本です。

社会保険庁の問題はもちろん、天下りだの国保金の横領だの、大阪府職員の人件費削減だの、挙げればキリのない公務員問題。

『公務員の異常な世界 給料・手当・官舎・休暇』  若林亜紀著 (幻冬社新書)

『実は悲惨な公務員』 山本直治著 (光文社新書)

この二冊は、公務員について両極端な立場から書かれています。

もちろんタイトルからお察しの通り、前者が「公務員バッシング本」、後者が「反・公務員バッシング本」です。

読んで、公務員に対する怒りと羨望(笑)を感じるのは前者でして、「仕事がないのに高級取り」「カネを使う人間ほど出世する」というような、一般庶民の感覚とはかけ離れた、優雅な公務員の姿が紹介されています。

民間では、経費削減、予算より安く済めば済むほどよい、というのが当たり前ですが、お役所は来年度の予算を獲得するために、配分されたお金は全額使い切るというのが有能の証なんだとか・・・・ヽ(`Д´)ノ

毎年三月には意味のない道路工事が行われている、というのは有名な話ですが、 「視察」という名の海外旅行が多いのも、この三月なのだそうです(怒)

使い切れない額が配分されたのなら、次年度からは減額するというのが通常の感覚。
しかし、お役所は次年度の予算を今年度分よりも少額になどさせまいと、必死に使い切るそうです。

コレこそ無駄遣いッ!!!!!
消費税を上げるとか、年金の徴収額を上げるとかいう前に、その辺の無駄をなくす方が先決なのは、誰が見たって当たり前。

それが出来なくなっているお役所の体質に、本当に呆れる他ありません。


一方、『実は~』の方ですが、こちらは「公務員の方の立場も理解してください」という、「中立」を謳った本。 

確かに、読者の怒りを煽らないように押さえた形で書かれていますし、お役所の欠点もキッチリ述べている辺り、なかなか「優等生的」な本です。

しかし、読んでるとムカムカするのはなんでなんでしょうね~(笑)

例えば、「公務員の給料はいわれるほど高額ではない」という旨が書かれているのですが、その際比較対照として挙げられているのは、誰もが知る大手有名企業ばかり。

「んなもん、そんなとこと比較したら、公務員の給料が高く見えるわけがないやろーーーーーーッヽ(`Д´)ノ」
と、いきなり本書冒頭から私は怒りモード(笑)

ただ、全体としては、なかなか説得力に満ちた内容ではありますし、前者がネタ的であるとすれば、こちらは情報的だといえるかと思います。

どちらか片方だけを読むと、いずれにせよ激しい怒りを感じると思いますので(笑)、両方一緒に読んでみると逆に落ち着けるかもしれません・・・・(;゜ロ゜)


六冊目、本日最後の本です。

『SとM』 鹿島茂著 (幻冬社新書)

まさにタイトルどおり、「サドとマゾ」の本です((((゜Д゜;))))

が、著者は有名なフランス文学者。
SMを歴史的に考察してみようという、なかなか高尚な(?)内容です。

筆者によると・・・・
Mというのは、もともとキリスト教徒の間に存在していたあり方である。
信者は、自らの身を鞭打つなど、苦痛を伴う修行を行うが、この苦痛が限界を超え悦楽に変わると、そこに絶対者である「神」を見出し、非連続であった信者同士がその幸福な体験を通じて一体となり、強固な絆を作り上げる。

そして、近代になり世界の中心が神から人間自身へと移行すると、有名な「サド」侯爵が登場し、絶対者であった神(=S)に代わり、人間である自分こそが絶対者となり相手を支配する、と宣言した

つまり、近代の誕生とSという概念の誕生とは期を同じくしたものである、という興味深い考察が述べられており、思わず「なるほどな~」と納得。

また、一般には誤解されていますが、SMの関係というのは、両者の間に厚い信頼関係があって初めて成り立つものであって、決して暴力を振るうのが好きな人間と振るわれるのが好きな人間というのを指しているのではない、という点も詳しく説明されています。

SMの関係において、主導権を握っているのはMであり、Sは「サービスのS」ともいわれるくらいに、「Mがどうされたいと望んでいるのか」を事前にキャッチし、その通りにしてあげるのが役割なのだそうです。

つまり、Mの望んでいないことをしても、それはMにとっては甚だ迷惑なことに過ぎず、だからこそMの「恒常的に信頼関係を築けるようなSの相手が欲しい」という望みは、SMというものに対する世間の誤解もあり、叶えるのが非常に難しいらしいです。
(もう一つ、人間は支配されることによって安定する本性があるので、生来的には皆Mであるということも、理想的なSが見つからないことの大きな要因であるようです。)

私自身は残念ながら(笑)、全くやってみたいという願望はないのですが、この本を読んでいると、「SMって文化的に洗練されて始めて生まれてくるものなんだなぁ・・・・」とつくづく考えさせられてしまいました。

なお、こんな面白い話が載っていました。

***************
南海ホークス時代鶴岡監督にぼろくそに罵倒されたN氏は、監督の在任中は彼を恨んでいましたが、監督が辞任し、自らが監督も兼ねなくてはならなくなると、心にポッカリ穴が開いてしまいました。

N氏には、叱ってくれる絶対者へのノスタルジーが生まれていたのかもしれません。

そんなときに偶然出会ったのが、S夫人
N氏は「ばか!ダメじゃないの!」と叱ってくれるS夫人と出会ったことで、再び野球に打ち込めるようになったのです・・・・・・・

***************

って、もちろん鹿島氏は狙って書かれたんでしょうが、この全く意味を成していないイニシャルトークに、思わず爆笑してしまいましたッ!!!!!( ̄ー ̄)

それにしても、一日六冊って、買い物行ったり昼寝したり掃除したりご飯作ったりしたつもりではあるのですが、
どんだけヒマやねん・・・・・・・・_| ̄|〇

2008/04/25 17:05 | Comments(2) | TrackBack() |
読書三昧 その1
ホンとに、最近ヒマです。
切実です。
ぐうたらしちゃってます・・・・・_| ̄|〇

しかし、これもまあ、散々読まずに積み上げていた本を片っ端から読む機会なのかと発想を転換し、読書に没頭することにしました。

・・・・なんて言っても、本屋に行くたびに新しい本を買ってしまうので、実は積読を片付けているわけではないのですが(笑)

今回はノンフィクションは一冊のみ、あとは評論とか書評です。
(しかも、一日で読んだ本・・・・本当にこう書いてみると自分がどれだけヒマなのかを実感します(涙))


一冊目。
『天切り松 闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝』 浅田次郎著 (集英社文庫)

私は浅田次郎氏の著作を結構読んでいると思うのですが、で、こんなに外れの少ない作家さんも珍しいと思うのですが、中でも一番すきなのが、この「天切り松」シリーズです。

大正・昭和の時代に活躍した「目細の安」一家のエピソードを、老齢になった一家ただ一人の生き残り「天切り松」が、闇がたりで聞かせます。

「目細の安」一家は、親分の「目細の安」以下、「説教寅」「黄不動の栄治」「振袖おこん」「書生常」、そして語り手である「天切り松」の六名。
この一家、実はいわゆる犯罪者集団でして、安とおこんはスリの名人、寅は入った先で説教をかます説教強盗、常は天才的な詐欺師で、栄治は「天切り」といわれる、屋根瓦を外して忍び込む夜盗、松はその弟子になります。

しかし彼らは、まさに「弱気を助け、強気を挫く」義賊集団で、生活に困っている人々には、ポンと大枚をはたくこともしばしば。

時には国家や大組織を相手に、胸の空くような仕事もします。
それが一銭にもならない仕事であっても、彼らは「職人」としての誇りを胸に、貧しい人々のために一肌も二肌も脱いでくれるのです。

さて「闇がたり」とは、盗人だけが使える特殊な話し方のこと。
六尺四方にしか聞こえない、闇の中で仲間同士が話をするときに用いる話法です。

老齢になり、警察では警視総監にも顔の利くほどのVIPである松は、拘置所などに出没しては、時には自ら、時には請われて一家の昔話を語ります。

その際使われるのが「闇がたり」。
松は大体において、拘置されている被告人相手に語るのですが、松の話の面白さは拘置所の所長以下、職員全員が知るところ。

声の聞こえる六尺四方内に陣取ろうと、押し合いへしあいの大騒ぎ。

そんな毎回のお約束も微笑ましいのですが、彼らや私たち読者を惹きつけるのは、何と言っても松の「江戸弁」の美しさ
今では「標準語」に取って代わられてしまった、絶滅間近の江戸弁。
このべらんめぇ調で啖呵を切る一家のかっこよさは半端じゃありません

大正時代の古き良き日本の姿と、涙あり笑いありの人間模様。
一度読めば、虜になること間違いなし!
このシリーズは、作者のライフワークとしてまだまだ続く予定だとか。
嬉しい限りです。


二冊目は『オタク学入門』 岡田斗司夫著 (新潮文庫)。

コレは十年以上前に刊行されたものの再録ですが、今読んでも面白い。
「オタクとは何か?」について、真摯で詳細な考察が述べられていて、思わず頷いてしまうところも多々あります。

岡田氏によれば、オタクには「粋の眼」「匠の眼」「通の眼」が必要だとのこと。

「粋の眼」とは、自分独自の視点で作品中の美を発見し、作者の成長を見守り、楽しむ視点だそうです。
例に挙げられているのは、『ブレードランナー』。
監督のリドリー・スコットは、スモークやら光やらを多用するのですが、それが幻想的な美しさや恐怖を演出するツールになっています。
それが『ブレードランナー』の近未来的なイメージを見事に構築しているわけです。

しかし次作の『ブラックレイン』でも、同様のスタイルがとられます。
グリコの看板が雨の中に毒々しく光っている、そんなシーンを見てオタクたちは驚愕したそうです。
「アメリカの都市とは違ってダサいと思っていた大阪がカッコイイ未来都市OSAKAになっている!!」と。

つまり、オタクたちはリドリー・スコット監督が、そこにどのような演出効果を込めてスモークや光を一生懸命焚いているのかを身をもって知らされたわけです(笑)
アメリカの都市がもともとカッコよかったわけじゃない、演出の成せる業だったのだ、と。

そこでオタクたちは、スコット監督の作品を次からはこのような眼でみることになります。
「次はどこを光らせるんだ?」「何を煙らせるんだ?」「そうするとどのように見えるんだ?」と。

岡田氏は、この視点を「画家の画風を楽しむのと同じ態度」と評しています。
その作家のそれまでの作品を理解し、傾向の変化を楽しみ、また他の作家にどのような影響を与えたか、美術史の中でどのような意味を持つのか、といった点を楽しむ視点と、オタクの作品の見方が同じだというのです。


二つ目の「匠の眼」は、作品を論理的に分析し、構造を見抜く科学者の視点のこと。
同じく『ブレードランナー』では、時計を片手に鑑賞。

ハリウッド映画は、時間の経過と展開が密接に結びついていて、二時間の映画だと次のように展開が設定されているそうです。

30分目:主人公に「動機付け」が与えられる。
60分目:一応事件は一段落するが、主人公は納得していない。
90分目:主人公は状況から逃げるのをやめて、解決へと向かう。

また重要なシーンは、観客を飽きさせないように15分・30分という位置に配置されているとか。

このタイムスケジュールに沿ってシナリオを把握すると、監督の大事だと考えるシーンがどれなのかも一目瞭然、自動的に何を言いたい映画なのかも簡単に把握でき、それがどのくらい成功したかも評価できるようになるそうです。

またSFXについても、それをどのように撮影するのか理解していれば、どれだけの時間と手間がかけられているのかも理解でき、製作者の拘りも見えてくる。
表面的な画面の美しさだけではなく、そのシーンにかけられた情熱を感じるからこそ、オタクたちは普通の人なら「キレイね」で済ませてしまうシーンや、下手すればスルーされてしまうシーンにも、並々ならぬ入れ込み具合と有り難味を感じるのだそうです。

最後の「通の眼」は、作品の中に垣間見える、作者の事情や作品のディテールを見抜く眼。
同じく『ブレードランナー』から説明されています。

オタクたちは前知識として、この映画が貧乏映画だと知っています。

飛行シーンで背景のビル群を、360度のパノラマで見せたい。
しかし、そんなセットを作る予算はない。
すると、東で使ったビルを北でも南でも使うことになります。
一応、レゴのように組み立て式のビルになっているので、パッと見は違う形のものが作れるようにはなっていたのですが、オタクたちは見逃しません(笑)

よく見ると、窓の並びが同じパターンになっているビルが幾つも見受けられます。
「あ、さっきのと同じビルのヤツだ!あれはさっきのビルでは上のほうにあったヤツだ」と、オタクたちはチェックします。


これら三つの眼が、オタクの特徴的な視点だそうです。

普通の人が「面白かった」「つまらなかった」と感想を抱くのとは、全く別の次元で作品を鑑賞しているわけです。
一言で言えば「瑣末なことに拘る」ということなのかもしれませんが、一つの作品を楽しみつくす、という姿勢はなかなか面白いと思います。

私は自分がオタクだという自覚を持っているわけですが、この本を読むと、「私のオタク度もまだまだだな・・・」と実感させられました(笑)

上に挙げたのは、この本の本の一部でして、他にも興味深い考察やエピソードがてんこ盛りですので、興味のある方は是非一読をお勧めします。


なんか、二冊でこんな長文になってしまいました・・・・。
他の本は次回に回したいと思いますΣ(゜д゜|||)

2008/04/22 14:32 | Comments(0) | TrackBack() |
どんでん返し
久々に本の話題をば。

最近みた某スレで、「どんでん返し」が話題になっていました。

そこで挙げられていたのが、乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)

実は、文庫の発売日に購入していたのですが、読まないまま積読状態になっていたのを思い出し、早速読んでみました。
(「積読(つんどく)」って一発で変換できるんですね!!!)

著者の乾くるみ氏は、本格推理作家で、メフィスト賞の受賞者でもあり、講談社文庫から発売されていたものは一応買って読んでいたので、その続きって感じで文春文庫の本書も購入はしていたんですね~。

結構薄い本なのですが、最近のものにしては珍しく、活字が詰まっていました(笑)
(私は行間を広々とって、一冊に収まるところを分冊してるヤツがキライですヽ(`Д´)ノ・・・だからってそれを理由に読まないって訳でもないのが悔しいのですが)

この『イニシエーション・ラブ』、分類はもちろんミステリになるのですが、殺人事件とかそういう刑事的な要素は一切ありません。
人が死なないミステリとしては、北村薫氏の「円紫さんシリーズ」や、加納朋子氏の一連の著作などが有名ですが、この本はちょっと毛色が違います。

表面上はただの(!?)恋愛小説なのです。

恐らく、新しい試みだからこそ、乾氏も今まで刊行されていた講談社ではなく、文春から発刊なさったんだと思われます。
でもカバー裏には「ミステリ」と書かれていますので、あえて謎がある事を隠していたわけでもなさそうです。
というか、「謎がある」という先入観を持って読まないと、逆に面白さを逃してしまうかもしれない作品です。

でも私は今まで色々なミステリを読み漁っているせいか(笑)、途中でふと「違和感」を覚え、何となくオチが予想できてしまいました・・・・(゜▽゜;)

それでも、帯にある「二回読みたくなる」という煽り文句は、決して嘘ではありません。
作者の張った細かな伏線を、いちいち確認したくなってしまうというか。
(さすがに読み返しはしていませんが、飛ばし読みでおさらいしてしまいました(笑))

あまりミステリを読まれていない方には、表面上は恋愛小説なので読みやすいですし、結構驚ける結末ではないかと思います。

主人公の内面描写とか、かなりリアルに書かれていて共感できるところもありますし、なかなか優れたエンターテイメントだと思います。


そんなこんなで「どんでん返し」という話題な訳ですが、私は地道な捜査の果てに犯人を追い詰める「警察小説」や、枠組みやお約束を楽しむ「ハードボイルド」、またコロンボのように最初から犯人が明らかになっている「倒叙もの」などの一部を除き、ほぼ全てのミステリには「どんでん返し」はつき物だと思っています

(でも、上に挙げたジャンルの中にも、「幕切れが鮮やか」なんて感じで『どんでん返し』の構造を持っているものは普通にありますが・・・)

逆に「どんでん返し」のないミステリって、「やっぱり思ったとおりのヤツが犯人だった」とか、「何が謎だったの?」なんてことになって、読んでいてもつまらないという感想を持たれるのが関の山ではないかと考えたりするのですが、どうでしょう?

ま、厳密に最後の最後だけを「どんでん返し」というのなら限られてきますが・・・(゜▽゜;)
(でもやっぱり、終盤に入ってから展開がガラリと一変したら、それは立派などんでん返しだとも思うのですが、定義甘いでしょうか???(笑))


で、最初のスレのことなのですが、やはり「これから読むかもしれないし『どんでん返し』があるかどうかは知りたくない」という方もいらっしゃるかと思いますので、かといって、どんな書名が挙がっていたかが気になる方もいらっしゃるかと思いますので、私が読んだもので挙げられていた作品をご紹介しておきます。

(結構票が偏っていて、十冊も挙がってなかったような感じなのですが。挙げられていたのは、上で言う「厳密な」(笑)どんでん返しなので、そうなるとやはり数的には少ないのかもしれないですね)

但し、久々の「白黒反転なのでドラッグして読んでね」バージョンにしたいと思います(笑)

********ココから興味ある方はドラッグで反転させてください********
『慟哭』 貫井徳郎著(創元推理文庫)
すごく面白かった印象は残っているのですが、話の内容、例のごとく実は全く覚えてません・・・。

『噂』 荻原浩著(新潮文庫)
以前、このブログで紹介させていただきました♪

『しあわせの書』 泡坂妻夫著(新潮文庫)
内容はともかく(笑)、私が今まで読んだ本の中で一番驚愕した本です。
この本に仕掛けられた「あること」に気付いた瞬間、正直鳥肌が立ちましたΣ(゜д゜|||)
ただ、「どんでん返し」なのかといわれるとビミョーなとこもありますが・・・・

**********ココまでですよ~************

それにしても、最近ヒマで、何だかブログの更新もはかどりそうです(笑)
今日だって、こんないつもの私ならありえない時間に更新してますし・・・_| ̄|〇

何だか、近所のマンガ喫茶の店員さんと、そろそろ顔なじみになってしまいそうで、ちょっと切ないです(笑)




2008/04/17 19:05 | Comments(1) | TrackBack() |

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