先日読んだ本の紹介、第二弾です。
三冊目は、ちょっと話題になっていて気になっていた本。
『ホームレス中学生』に続き、私としては異例のタレント本です。
『本業』 浅草キッド 水道橋博士著 (文春文庫)
ただ、この本はいわゆるタレント本ではなく、芸能人である著者が、タレント本を批評するという、一風変わった趣向を持っています。
紹介されているのは、タレント本界のベストセラー矢沢永吉に始まり、「ネタ本」としての印象の強いガッツ石松本、果ては数年前に大騒動を起こしたチリ人・アニータの本までΣ(゜д゜|||)、総勢50冊(名)。
(アニータって本出してたんですね・・・・・たくましい(゜▽゜;))
この水道橋博士氏、なかなか突っ込みどころも鋭く、文章も巧いので、紹介されている本を一冊も読んでいなかった私でも、面白く読めました。
著者自身が芸能人であるという立場を活かした「楽屋裏」バナシにも触れられていますし、文庫版の特典として最新の動向も載せられているので、ワイドショー的な興味も満たしてくれます(笑)
何より、「タレント本とは『膨大で払いきれない有名税に対するタレント本人による青色申告所』である」、という著者の定義が秀逸。
前書きだけでも面白いのではないかと思いました。
四冊目と五冊目は一緒に。
ここずっと取り上げられている、「公務員」についての本です。
社会保険庁の問題はもちろん、天下りだの国保金の横領だの、大阪府職員の人件費削減だの、挙げればキリのない公務員問題。
『公務員の異常な世界 給料・手当・官舎・休暇』 若林亜紀著 (幻冬社新書)
『実は悲惨な公務員』 山本直治著 (光文社新書)
この二冊は、公務員について両極端な立場から書かれています。
もちろんタイトルからお察しの通り、前者が「公務員バッシング本」、後者が「反・公務員バッシング本」です。
読んで、公務員に対する怒りと羨望(笑)を感じるのは前者でして、「仕事がないのに高級取り」「カネを使う人間ほど出世する」というような、一般庶民の感覚とはかけ離れた、優雅な公務員の姿が紹介されています。
民間では、経費削減、予算より安く済めば済むほどよい、というのが当たり前ですが、お役所は来年度の予算を獲得するために、配分されたお金は全額使い切るというのが有能の証なんだとか・・・・ヽ(`Д´)ノ
毎年三月には意味のない道路工事が行われている、というのは有名な話ですが、 「視察」という名の海外旅行が多いのも、この三月なのだそうです(怒)
使い切れない額が配分されたのなら、次年度からは減額するというのが通常の感覚。
しかし、お役所は次年度の予算を今年度分よりも少額になどさせまいと、必死に使い切るそうです。
コレこそ無駄遣いッ!!!!!
消費税を上げるとか、年金の徴収額を上げるとかいう前に、その辺の無駄をなくす方が先決なのは、誰が見たって当たり前。
それが出来なくなっているお役所の体質に、本当に呆れる他ありません。
一方、『実は~』の方ですが、こちらは「公務員の方の立場も理解してください」という、「中立」を謳った本。
確かに、読者の怒りを煽らないように押さえた形で書かれていますし、お役所の欠点もキッチリ述べている辺り、なかなか「優等生的」な本です。
しかし、読んでるとムカムカするのはなんでなんでしょうね~(笑)
例えば、「公務員の給料はいわれるほど高額ではない」という旨が書かれているのですが、その際比較対照として挙げられているのは、誰もが知る大手有名企業ばかり。
「んなもん、そんなとこと比較したら、公務員の給料が高く見えるわけがないやろーーーーーーッヽ(`Д´)ノ」
と、いきなり本書冒頭から私は怒りモード(笑)
ただ、全体としては、なかなか説得力に満ちた内容ではありますし、前者がネタ的であるとすれば、こちらは情報的だといえるかと思います。
どちらか片方だけを読むと、いずれにせよ激しい怒りを感じると思いますので(笑)、両方一緒に読んでみると逆に落ち着けるかもしれません・・・・(;゜ロ゜)
六冊目、本日最後の本です。
『SとM』 鹿島茂著 (幻冬社新書)
まさにタイトルどおり、「サドとマゾ」の本です((((゜Д゜;))))
が、著者は有名なフランス文学者。
SMを歴史的に考察してみようという、なかなか高尚な(?)内容です。
筆者によると・・・・
Mというのは、もともとキリスト教徒の間に存在していたあり方である。
信者は、自らの身を鞭打つなど、苦痛を伴う修行を行うが、この苦痛が限界を超え悦楽に変わると、そこに絶対者である「神」を見出し、非連続であった信者同士がその幸福な体験を通じて一体となり、強固な絆を作り上げる。
そして、近代になり世界の中心が神から人間自身へと移行すると、有名な「サド」侯爵が登場し、絶対者であった神(=S)に代わり、人間である自分こそが絶対者となり相手を支配する、と宣言した。
つまり、近代の誕生とSという概念の誕生とは期を同じくしたものである、という興味深い考察が述べられており、思わず「なるほどな~」と納得。
また、一般には誤解されていますが、SMの関係というのは、両者の間に厚い信頼関係があって初めて成り立つものであって、決して暴力を振るうのが好きな人間と振るわれるのが好きな人間というのを指しているのではない、という点も詳しく説明されています。
SMの関係において、主導権を握っているのはMであり、Sは「サービスのS」ともいわれるくらいに、「Mがどうされたいと望んでいるのか」を事前にキャッチし、その通りにしてあげるのが役割なのだそうです。
つまり、Mの望んでいないことをしても、それはMにとっては甚だ迷惑なことに過ぎず、だからこそMの「恒常的に信頼関係を築けるようなSの相手が欲しい」という望みは、SMというものに対する世間の誤解もあり、叶えるのが非常に難しいらしいです。
(もう一つ、人間は支配されることによって安定する本性があるので、生来的には皆Mであるということも、理想的なSが見つからないことの大きな要因であるようです。)
私自身は残念ながら(笑)、全くやってみたいという願望はないのですが、この本を読んでいると、「SMって文化的に洗練されて始めて生まれてくるものなんだなぁ・・・・」とつくづく考えさせられてしまいました。
なお、こんな面白い話が載っていました。
***************
南海ホークス時代に鶴岡監督にぼろくそに罵倒されたN氏は、監督の在任中は彼を恨んでいましたが、監督が辞任し、自らが監督も兼ねなくてはならなくなると、心にポッカリ穴が開いてしまいました。
N氏には、叱ってくれる絶対者へのノスタルジーが生まれていたのかもしれません。
そんなときに偶然出会ったのが、S夫人。
N氏は「ばか!ダメじゃないの!」と叱ってくれるS夫人と出会ったことで、再び野球に打ち込めるようになったのです・・・・・・・
***************
って、もちろん鹿島氏は狙って書かれたんでしょうが、この全く意味を成していないイニシャルトークに、思わず爆笑してしまいましたッ!!!!!( ̄ー ̄)
それにしても、一日六冊って、買い物行ったり昼寝したり掃除したりご飯作ったりしたつもりではあるのですが、
どんだけヒマやねん・・・・・・・・_| ̄|〇
三冊目は、ちょっと話題になっていて気になっていた本。
『ホームレス中学生』に続き、私としては異例のタレント本です。
『本業』 浅草キッド 水道橋博士著 (文春文庫)
ただ、この本はいわゆるタレント本ではなく、芸能人である著者が、タレント本を批評するという、一風変わった趣向を持っています。
紹介されているのは、タレント本界のベストセラー矢沢永吉に始まり、「ネタ本」としての印象の強いガッツ石松本、果ては数年前に大騒動を起こしたチリ人・アニータの本までΣ(゜д゜|||)、総勢50冊(名)。
(アニータって本出してたんですね・・・・・たくましい(゜▽゜;))
この水道橋博士氏、なかなか突っ込みどころも鋭く、文章も巧いので、紹介されている本を一冊も読んでいなかった私でも、面白く読めました。
著者自身が芸能人であるという立場を活かした「楽屋裏」バナシにも触れられていますし、文庫版の特典として最新の動向も載せられているので、ワイドショー的な興味も満たしてくれます(笑)
何より、「タレント本とは『膨大で払いきれない有名税に対するタレント本人による青色申告所』である」、という著者の定義が秀逸。
前書きだけでも面白いのではないかと思いました。
四冊目と五冊目は一緒に。
ここずっと取り上げられている、「公務員」についての本です。
社会保険庁の問題はもちろん、天下りだの国保金の横領だの、大阪府職員の人件費削減だの、挙げればキリのない公務員問題。
『公務員の異常な世界 給料・手当・官舎・休暇』 若林亜紀著 (幻冬社新書)
『実は悲惨な公務員』 山本直治著 (光文社新書)
この二冊は、公務員について両極端な立場から書かれています。
もちろんタイトルからお察しの通り、前者が「公務員バッシング本」、後者が「反・公務員バッシング本」です。
読んで、公務員に対する怒りと羨望(笑)を感じるのは前者でして、「仕事がないのに高級取り」「カネを使う人間ほど出世する」というような、一般庶民の感覚とはかけ離れた、優雅な公務員の姿が紹介されています。
民間では、経費削減、予算より安く済めば済むほどよい、というのが当たり前ですが、お役所は来年度の予算を獲得するために、配分されたお金は全額使い切るというのが有能の証なんだとか・・・・ヽ(`Д´)ノ
毎年三月には意味のない道路工事が行われている、というのは有名な話ですが、 「視察」という名の海外旅行が多いのも、この三月なのだそうです(怒)
使い切れない額が配分されたのなら、次年度からは減額するというのが通常の感覚。
しかし、お役所は次年度の予算を今年度分よりも少額になどさせまいと、必死に使い切るそうです。
コレこそ無駄遣いッ!!!!!
消費税を上げるとか、年金の徴収額を上げるとかいう前に、その辺の無駄をなくす方が先決なのは、誰が見たって当たり前。
それが出来なくなっているお役所の体質に、本当に呆れる他ありません。
一方、『実は~』の方ですが、こちらは「公務員の方の立場も理解してください」という、「中立」を謳った本。
確かに、読者の怒りを煽らないように押さえた形で書かれていますし、お役所の欠点もキッチリ述べている辺り、なかなか「優等生的」な本です。
しかし、読んでるとムカムカするのはなんでなんでしょうね~(笑)
例えば、「公務員の給料はいわれるほど高額ではない」という旨が書かれているのですが、その際比較対照として挙げられているのは、誰もが知る大手有名企業ばかり。
「んなもん、そんなとこと比較したら、公務員の給料が高く見えるわけがないやろーーーーーーッヽ(`Д´)ノ」
と、いきなり本書冒頭から私は怒りモード(笑)
ただ、全体としては、なかなか説得力に満ちた内容ではありますし、前者がネタ的であるとすれば、こちらは情報的だといえるかと思います。
どちらか片方だけを読むと、いずれにせよ激しい怒りを感じると思いますので(笑)、両方一緒に読んでみると逆に落ち着けるかもしれません・・・・(;゜ロ゜)
六冊目、本日最後の本です。
『SとM』 鹿島茂著 (幻冬社新書)
まさにタイトルどおり、「サドとマゾ」の本です((((゜Д゜;))))
が、著者は有名なフランス文学者。
SMを歴史的に考察してみようという、なかなか高尚な(?)内容です。
筆者によると・・・・
Mというのは、もともとキリスト教徒の間に存在していたあり方である。
信者は、自らの身を鞭打つなど、苦痛を伴う修行を行うが、この苦痛が限界を超え悦楽に変わると、そこに絶対者である「神」を見出し、非連続であった信者同士がその幸福な体験を通じて一体となり、強固な絆を作り上げる。
そして、近代になり世界の中心が神から人間自身へと移行すると、有名な「サド」侯爵が登場し、絶対者であった神(=S)に代わり、人間である自分こそが絶対者となり相手を支配する、と宣言した。
つまり、近代の誕生とSという概念の誕生とは期を同じくしたものである、という興味深い考察が述べられており、思わず「なるほどな~」と納得。
また、一般には誤解されていますが、SMの関係というのは、両者の間に厚い信頼関係があって初めて成り立つものであって、決して暴力を振るうのが好きな人間と振るわれるのが好きな人間というのを指しているのではない、という点も詳しく説明されています。
SMの関係において、主導権を握っているのはMであり、Sは「サービスのS」ともいわれるくらいに、「Mがどうされたいと望んでいるのか」を事前にキャッチし、その通りにしてあげるのが役割なのだそうです。
つまり、Mの望んでいないことをしても、それはMにとっては甚だ迷惑なことに過ぎず、だからこそMの「恒常的に信頼関係を築けるようなSの相手が欲しい」という望みは、SMというものに対する世間の誤解もあり、叶えるのが非常に難しいらしいです。
(もう一つ、人間は支配されることによって安定する本性があるので、生来的には皆Mであるということも、理想的なSが見つからないことの大きな要因であるようです。)
私自身は残念ながら(笑)、全くやってみたいという願望はないのですが、この本を読んでいると、「SMって文化的に洗練されて始めて生まれてくるものなんだなぁ・・・・」とつくづく考えさせられてしまいました。
なお、こんな面白い話が載っていました。
***************
南海ホークス時代に鶴岡監督にぼろくそに罵倒されたN氏は、監督の在任中は彼を恨んでいましたが、監督が辞任し、自らが監督も兼ねなくてはならなくなると、心にポッカリ穴が開いてしまいました。
N氏には、叱ってくれる絶対者へのノスタルジーが生まれていたのかもしれません。
そんなときに偶然出会ったのが、S夫人。
N氏は「ばか!ダメじゃないの!」と叱ってくれるS夫人と出会ったことで、再び野球に打ち込めるようになったのです・・・・・・・
***************
って、もちろん鹿島氏は狙って書かれたんでしょうが、この全く意味を成していないイニシャルトークに、思わず爆笑してしまいましたッ!!!!!( ̄ー ̄)
それにしても、一日六冊って、買い物行ったり昼寝したり掃除したりご飯作ったりしたつもりではあるのですが、
どんだけヒマやねん・・・・・・・・_| ̄|〇
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コメント
おこんにちは~♪
ここ二ヶ月間、ぎゅうぎゅうと忙しかったのもあり、本を読みたくても読めないというジレンマに陥っておりましたが、やっと時間が作れるようになったので、やっと念願の『SとM』を、昨日今日と二日かかって読みました(←字を読むのがものすごく遅い)。
面白かったですよ~。とても分かりやすく解明、考察されており、「なるほどねー」と興味深く読めました。心理的な部分が特に納得。
やばーい。これ、使えそう……(←何にだっ)
特に、宗教と文学が絡めてあると、わたくしにはとても分かりやすいw。
あと、へぇ、と新鮮に感じたのは、日本のSMにおける「縛り」が、旧陸軍式と海軍式の二通り存在するというとこですかね。
さて、本棚に眠っている団 鬼六を発掘してみるとしようか。
ここ二ヶ月間、ぎゅうぎゅうと忙しかったのもあり、本を読みたくても読めないというジレンマに陥っておりましたが、やっと時間が作れるようになったので、やっと念願の『SとM』を、昨日今日と二日かかって読みました(←字を読むのがものすごく遅い)。
面白かったですよ~。とても分かりやすく解明、考察されており、「なるほどねー」と興味深く読めました。心理的な部分が特に納得。
やばーい。これ、使えそう……(←何にだっ)
特に、宗教と文学が絡めてあると、わたくしにはとても分かりやすいw。
あと、へぇ、と新鮮に感じたのは、日本のSMにおける「縛り」が、旧陸軍式と海軍式の二通り存在するというとこですかね。
さて、本棚に眠っている団 鬼六を発掘してみるとしようか。
posted by 紗奈at 2008/11/02 13:43 [ コメントを修正する ]
Re:無題
コメントどうもありがとうございます~♪
やっぱ紗奈さんのお好きな系統ですよね、『SとM』(笑)
絶対使えますって、アレに(笑)
ネタとして使われているのを拝見しました暁には、画面を見ながら一人でニヤニヤしたいと思います!?((((゜Д゜;))))
私も最近は余裕が無くてなかなかブログの更新をしていないのですが、落ち着いたら再開しますので、あと一月ほどお待ち下さい(゜▽゜;)
それにしても団御大の著作が本棚に眠っているとは流石です(笑)
やっぱ紗奈さんのお好きな系統ですよね、『SとM』(笑)
絶対使えますって、アレに(笑)
ネタとして使われているのを拝見しました暁には、画面を見ながら一人でニヤニヤしたいと思います!?((((゜Д゜;))))
私も最近は余裕が無くてなかなかブログの更新をしていないのですが、落ち着いたら再開しますので、あと一月ほどお待ち下さい(゜▽゜;)
それにしても団御大の著作が本棚に眠っているとは流石です(笑)
最近はノンビリしてますよ(←ヒマと言い換えることも可能(笑))
ぜひゲーム大会を開催してくださいッ!!
切望します(笑)
あとオクサマに渡したいものがあるので、ってこの辺のことはまたメールします(゜▽゜;)
PSPも、思いっきり自慢してください・・・(涙)