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2024/04/20 21:44 |
私の本の選び方(ミステリ編)
昨日、初めて歌野晶午さんの本を読みました。
タイトルは『葉桜の季節に君を想うということ』
文春文庫の新刊です。

この本は、内容に下手に触れてしまいますと、これから読もうと思っている方の気持を削いでしまうことにもなりかねないので、ご紹介するのが結構難しいのですが・・・。

読んでいる最中に、ほんの些細な記述ではあるのですが、「ん?」とひっかかる箇所が現われてきます。
ストーリー展開の中心部分ではなく、主人公のふとした行動の描写であったり、何気なく使われた引用の表現だったりするところにです。

このひっかかりが、読了すると「あ~、だからそういう風に書いてあったのか~」と思わず納得。
そして、引っかかった箇所にさかのぼっては、思わず「クスリ」と笑ってしまうのです。

物語自体は、現在と過去とがオーバーラップしながら、時には主人公以外の人物の視点も交えて、テンポよく進んでいきます。
高額商品を売りつける詐欺の実態や、それに付随する高齢者問題、高額債務者の問題などにも触れられ、社会の暗部が抉り出される一方で、爽快な青春譚が展開していくという、一級のエンターテイメント作品です。

ラストには二重のどんでん返しが用意されていて、その辺りはミステリのお約束もきちんと踏襲されているという、なかなかサービス精神にも溢れた一冊。

傾向でいうと、本格推理というよりは、最近の東野圭吾さんの路線に近いかな・・・。
(東野圭吾さんは、初期の作品は本格推理中心でしたので、あくまで最近の作品)
ただ、東野作品のような、重い(重いのが悪いといっているわけではありません(⊃д⊂))とか、救いようがないといった感じは無く、もう少し爽快感があるかと思います。

さて、私は歌野晶午さんの本を初めて読んだわけですが、なぜ(ある意味今更・・・)手に取ったのかと申しますと、本の帯に
2004年版このミステリーがすごい! 第1位

2004本格ミステリベスト10      第1位

第57回日本推理作家協会賞受賞

第4回本格ミステリ大賞受賞
と、 まあ、錚々たる受賞歴が載っていたからなのですね~。

私が中でも興味を惹かれるのは、日本推理作家協会賞
この賞は、その年に発表された推理小説(というか、ミステリなら幅広く対象になっています)に与えられるものなのですが、受賞作品で外れっていうのは、まずほとんどありません。
ただ、一度受賞した作家の再受賞は禁じられているので、厳密な意味でその年の「一番」なのか、といわれると、確かに疑問を感じることも無くはないのですが・・・。

第一回の受賞者は、恐らくそれまでの推理小説界への貢献に対する功労賞の意味もあったのでしょうが、横溝正史『本陣殺人事件』
第二回は、先日ブログでもご紹介した、坂口安吾『不連続殺人事件』

また最近の受賞者はといいますと、宮部みゆき・有栖川有栖・綾辻行人・東野圭吾・伊坂幸太郎・菅浩江・北村薫・・・・・と、錚々たる面々。(敬称略)
私のイチオシミステリである、天藤真さんの『大誘拐』も受賞作品です。

客観的にみても、かなり手堅い作品を選ぶ賞だといえるかと思います。
故・中島らもさんが、『ガダラの豚』で受賞されてるのは驚きですが。ミステリのテイストがあれば、厳密なジャンルは問わないという授賞姿勢が顕著に現われている例ですね。
ちなみに『ガダラの豚』は、すごく面白いです。ハチャメチャなのに、すごく巧い!といっても何年も前に読んだので、詳細な記憶はとっくに吹っ飛んでます・・・)

ミステリで権威のある賞といえば、もう一つ江戸川乱歩賞が上げられます。
こちらは、刊行された作品が対象ではなく、公募作品から選ばれるものなので、受賞者は自動的に無名の新人になるわけですが、読者の側からすると、掘り出し物を見つけられるという、ちょっとした優越感を味わう事ができます(!?)

この賞の受賞をきっかけに有名になった作家さんの中には、大御所・西村京太郎氏の他、東野圭吾・栗本薫・福井敏晴・桐野夏生・岡嶋二人各氏ら、やはり現在を代表する方々が多くいます。
(岡嶋二人さんは、二名の合作ペンネームでして、今は解散しています。今はそのうちのお一人が、井上夢人の名で書いていらっしゃいます)

ただ、個人的な感想としては、上にお名前を挙げた方は、受賞後の作品にも面白いものが多く、むしろほとんどの方が、代表作といわれる作品は、乱歩賞受賞以後のものであるといえると思うのですが、中には、乱歩賞受賞作がピークで、それ以後は正直「・・・・・・・・・・」で終わってしまっている方も結構いらっしゃるかな・・・と。

その点では、日本推理作家協会賞の方が、一定の地位を築いている方が受賞されるパターンが多いということで、受賞作以外の作品も安心して読める気がします。

さて、ミステリマニアは、以上の二つの賞に注目しているわけですが、もう一つ、決して忘れてはならない賞が存在します。

よく「このミス」と略されている、「このミステリがすごい!」も、当然無視できませんので、私は「このミス第○位」という帯にも釣られて、頻繁に購入するのですが(笑)、ここでいう忘れてはならない賞とはそれではありません。

「メフィスト賞」という、講談社が主催している、幅広くミステリを対象に選ばれる賞の事です。
なぜ、コレを無視できないか。
答えは簡単。
賞の選定がマニアックだからですッΣ(゜д゜|||)

ハッキリいって、この賞に権威があるのかは存じ上げません・・・。
ただ、全国のミステリマニアが注目している事は間違いなく、それ故、話題性は十分。
主催が講談社という、メジャーどころでは、最もミステリに力をいれている出版社という事もありますし。

今までに選ばれている作家も、まず間違いなくミステリを読む人間じゃないと知らないだろう、というかなりディープな面々。
以下に挙げる作家名のうち、3人以上知っていたら(読んでいなくても可)、ミステリマニアの資格があるといってもいいかと思います。

森博嗣(この方は、名大の工学部の助教授ということでも有名。作品の刊行ペースが異常に早いです。)

清涼院流水(「清涼飲料水」をもじったペンネームらしいです・・・・。スミマセン、私はこの方の小説はあらゆる意味で読めません。気になる方はご一読下さい)

高田崇史(ここに挙げる名前では、私のイチオシ。QEDシリーズがおすすめ。それ以外のシリーズは・・・より好き嫌いが分かれそう(笑))

霧舎巧(正統派かな。私は結構好きです。ちょっと青臭い感じはしますが・・・)

殊能将之(作品ごとに作風が全く違うところが面白いです。『ハサミ男』か『美濃牛』が代表作かな?)

西尾維新(未読。講談社文庫の表紙を見てしまうと、手に取るのをためらいます・・・(笑))

舞城王太郎(一度、ここでもご紹介してます。この方も作品は選びますがおすすめ。)

・・・・・と、受賞後も精力的に作品を発表されている方を中心に名前を挙げてみましたが、何人くらいの名前をご存知でしたか?

一人も知らない、という方が、恐らく平均的な日本人だと思います・・・・
ミステリは特殊なジャンルですから、本好きでも、「ミステリだけは読まない」という方も珍しくないですしね。

メフィスト賞は、ミステリマニアになりたい!という奇特な方にオススメの賞なので、この辺から始めれば、おのずとマニアへの道は拓けてくるかと思いますΣ(゜д゜|||)
(ただ本当にマニアックなので、ミステリを読んだ事のない人が、いきなりこのラインから入ると、拒絶反応を起こす確率の方が高い事も申し添えておきます。恐らく、日本推理作家協会賞受賞作から入るのが、まっとうな人間の歩む道だと思われます。)

ということで、私はミステリを買う場合には、今まで読んでいて面白かった方のは、まあ継続して新刊が出るたびに購入するのですが、他のも読みたいな~、と思ったときには、迷わず受賞作に手を出すわけです。

・・・・・・・・・皆さん受賞作を目安にすると思いますので、なんら目新しい選び方ではないのですが_| ̄|○

ただ、ミステリの賞の中でも色々と傾向がありますので、今後の参考になれば幸いです(笑)

【オマケ】 
今日、道を歩いていたら、飲食店の前に、従業員募集の張り紙がありました。

職種:厨房(経験不可)

・・・・・・・・・え!?経験不可!?

思わず爆笑してしまいました。

多分、経験不問のつもりだと思うのですが・・・・。
未経験者不可、ともとれるけど。
ま、常識的に考えて、経験者を取らないってことはないと思います。
いい人がくるといいですな・・・Ψ(`∇´)Ψ
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2007/05/14 01:30 | Comments(0) | TrackBack() |

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