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2024/04/19 05:29 |
オタク本!?
今日も引き続き読書ネタです。
濫読の私ですが、今日ご紹介する本は、今までブログで取り上げてきた本とはちょっと傾向が違うかもしれません。
・・・いやそうでもない本もありますが。

まず一冊目。
『無法地帯 幻の?を捜せ!』 大倉崇裕著 (双葉文庫)

双葉文庫からのご紹介自体が珍しいですね~(;゜д゜)
ここの傾向としては、完全エンターテイメント系の小説ばかりを扱っているということがいえるかもしれません。
しかもそのジャンルは、チャンバラ時代劇系、ポルノ系、そしてディープなミステリ系Σ(゜д゜|||)
(但し私の独断です。)

この『無法地帯』は、私がご紹介する本なので、当然ディープなミステリ系に分類される小説です。
(ディープなミステリ系というのは、正統派ではないということです(笑))

概要はと申しますと、「オタク版 仁義なき戦い」とでもいうべき、かなり斬新なミステリです。
マニアコレクター垂涎の、とあるアイテムをめぐって、私立探偵とホンモノのヤクザと、アイテム入手のためなら何でもやるというちょっと褒められないマニアの三名が、熾烈な争いを繰り広げます。

しかも私立探偵は、食玩(おもちゃに申し訳程度のラムネ菓子や飴が付いている、箱入りの商品のこと。私も好きなヤツです・・・(⊃д⊂))コレクター、ヤクザは怪獣アイテムコレクターという、主要登場人物はもちろんのこと、脇を固めるキャラクター陣もよってたかってオタクという、なんとも壮烈な布陣。

あらゆるシーンで、「オタク」という人種の特徴が強烈なまでにデフォルメされていて(デフォルメというより、実情かも知れませんが・・・)、例えばどんなに脅されても口を割らない人間が、コレクションを壊すぞと脅されただけで簡単に白状するとか、人の迷惑も顧みず乱闘を繰り返すくせに、「模型が壊れるから」という理由で、玩具店内での喧嘩を避けたりする・・・なんていう、かなり笑える描写が盛りだくさんです。

また、食玩というのは中身が見えないので、全種類揃えるために(コンプリートといいますΣ(゜д゜|||))何回も購入することとなり、当然同じもののダブりが発生するのですが。
そのダブりをいかに処分するかといった、マニア以外の方には全くあずかり知らぬ世界の事も、キチンと丁寧に説明されているので、マニアの世界を覗き見たいという方にも楽しんでいただける小説です(そんな人がいるのかは分かりませんが・・・(汗))。

肝心の謎はといいますと、一応殺人事件は起こるのですが、この小説の主眼は殺人事件の解決ではなく、あくまで「幻の?を捜せ」という点にありますので、殺人の謎解きはされているのですが、あまりインパクトは強くありません(笑)

一応、作者の大倉氏は本格推理物を手がけている方なのですが、この小説は「任侠モノ+探偵モノ+オタク」ということで、恐らく氏の著作の中でも異色だろうと思います(;゜д゜)
内容が内容だけに、「読んでみて!」と自信を持ってオススメできないのですが(笑)、興味のある方はお手にとって見てください。


二冊目。
『蹴りたい背中』 綿谷りさ著 (河出文庫)

今までご紹介してきた中で、恐らく一番のベストセラーではないでしょうか(笑)
しかも今更・・・・(;´д⊂)

何より、女性作家という点が、私にしては珍しいです。
昔は女性の作品をよく読んでいたんですが、最近はほとんど食指が動きません。
女性の本で読むのって、文芸評論家の斎藤美奈子氏の著作くらいかも・・・・(汗)

今まで、この『蹴りたい背中』も全く食指が動かなかったのですが、直近の早稲田の入試問題で出題されていたこともあり、読んでみる事にしました。
(ていうか、綿谷りさって早大在学中なのに、その在校生の文章を入試で使うか!?と、正直思わなくもなかったですが。しかも微妙な設問だったと思う・・・・)

で、感想ですが。
「へぇ、高校生がここまでの文章を書けるんだぁ」というのが最初の読後の感想でした。
やはり芥川賞受賞というのは伊達ではないと思いました。

すごく感覚的な文章で、確かに「瑞々しい」という表現がピッタリ。
五感を駆使したような、繊細な描写で、そういう意味では高校生らしい文章なのかもしれません。

ですが。
上手い下手とはまったく別の次元で、私にはやはり受け付けない類の小説でした・・・_| ̄|○
(単に私が想定されている読者層より年食ってるだけ・・・!?Σ(゜д゜|||))

主要登場人物が二人いるのですが(高校生の男女です)、どっちも「イタい」
作者が狙ってそのような人物造形にしたのは分かるのですが、ちょっとなんていうか、女の子は自意識過剰で気負いすぎてる部分が「イタい」ですし、男の子はいわゆる「アイドル(?)オタク」なのですが、正直気持悪い(笑)。

私自身、オタクの傾向があるので、オタクには共感する部分が大いにあるわけですが、ちょっとこの男の子(「にな川」といいます)には、オタクとは違う、狂気といいますか、気色悪さを感じてしまいました。
(先にご紹介した『無法地帯』にはハッキリ描かれているのですが、オタクとかマニアとかって、社会から外れているように見えて、実はオタク同士・マニア同士のコミュニケーションは盛んですから、この「にな川」君は誰ともコミュニケートしていないという点で、かなり異色です。オタクやマニアがある意味「陽」的なのに対して、「にな川」君は「陰」的なのが、気持悪いと感じる要因なのかもしれません。)
まあ、だからこそ主人公の女の子も「蹴りたい」という衝動が沸き起こってきたのでしょうけど。

ですから読んだ後、この小説が大ベストセラーになったことに些かの驚きを感じてしまいました。
いえ、面白くなかったとかそういう意味ではないですよ。

大ベストセラーになるためには、普段本を読まない層も取り込んで、本が売れてくれる必要があるわけです。
ですから、大ベストセラーといわれる本には、読みやすく、軽く、感動できるツボが明確で、登場人物に感情移入しやすく、かつドラマチックというのが、必要条件だと思われます。
(ドラマ化・映画化されるとさらに強力。)

が、この『蹴りたい背中』って、活字が大きく、長さも中篇程度ですから、そういう意味では読みやすいですが、過剰なまでに感覚的な文体や、特にハッキリ見える盛り上がりもなく、淡々と進むストーリー展開(一応、最後にちょっとした変化はありますが)、また常に斜に構えているようなひねくれた主人公などという、つまりどちらかといえば、「敬遠されがち」な要素満載なわけです。

にも拘らず「売れた」。
これはやはり、「芥川賞最年少受賞」ということに加え、作者の綿谷氏が可愛い女の子だったということも大きく影響しているんでしょうね。
ですが、やはり作品自体の魅力が大きかったことも事実だと思います。
私も気が向いたときに、他の著作を読んでみたいと思います。
(でも今はもういいです(笑))


三冊目。
『Wの悲劇 新装版』 夏樹静子著 (光文社文庫)

これも今更シリーズです。
昔から読もう読もうと思い続けて、かれこれ20年くらい経ってしまっている気がしますΣ(゜д゜|||)
光文社文庫から「新装版」という形で再版されたのを機に、読んでみることにしました。

これだけミステリを読んでいるにも拘らず、初・夏樹静子でした。
女性の作品をほとんど読まないというのは、ミステリに関しても当てはまるんですね、当然。
女性で読んでいるミステリ作家って、恩田陸(でも最近は離れつつあります)、加納朋子、小野不由美の各氏くらいです。(もう一人いるんですが、名前を忘れました・・・(;´д⊂))
昔はクリスティとか山村美紗も読んでましたが、高校生のときくらいまでですしねぇ・・・。

さて、この『Wの悲劇』、当然タイトルからお分かりのように、エラリー・クイーンの『Xの悲劇』を始めとする、ドルリー・レーンものへのオマージュ的な作品でもあるわけですね。

しかし、冒頭部で犯人は明らかになっています。
いわゆる、刑事コロンボなどに見られる「倒叙(倒錯)」式といわれる、読者・視聴者には犯人があらかじめ分かっていて、探偵役が如何に犯人を追い詰めるかという、あのタイプです。
そのあたりが、クイーンとは異なっていますね。
(クイーンは基本的に、犯人当てに主眼が置かれています)

と思いきや、実はこの作品には何重ものトリックが仕掛けられているのです。
その辺りが、刊行当時は非常に斬新だったんじゃないでしょうか。
薬師丸ひろ子主演で、映画化もされているヒット作ですしね。
(ただ、薬師丸ひろ子が演じたのは、多分この役なんだろうな、と分かるのですが、正直イメージではありません・・・。まぁ、当時は角川三人娘とかいって、キャストを誰にするかではなく、主演は薬師丸ひろ子ってまず決まってましたからね(笑))

遺産相続に関する法律がらみの動機なんかも面白くて、昔のミステリではありますが、かなり楽しめました。
ただ、どの登場人物の描写も、掘り下げ具合が同じなので、誰かに感情移入しながら読むというスタンスは取りにくかったです。
逆に言えば、事実を淡々と描写するという客観的な視点に拘った結果なのかもしれませんが。


ということで、今回は珍しく女性作家を中心にご紹介してみました。
これからはあまり食わず嫌いをせずに、女性作家のものももう少し積極的に読んでみようと思います(´Д`;)ヾ
一応私自身が女性ですし・・・・(笑)
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2007/06/26 02:16 | Comments(1) | TrackBack() |

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コメント

paraporocelloです。

映画の「Wの悲劇」は、物語自体が完全に劇中劇になっており、ミステリーとして小説版「Wの悲劇」を楽しむことはできません。一人の女優の卵(薬師丸)が人間として成長していく、そんな映画でした。世良さんがださくて、見てられませんでした。蜷川さんが演出家の役で出ていたということは、彼の監督作品なのかなあ?
出張で行った宮崎でロードショーを見たんですが、観客はカップルが二組と私だけでした。薬師丸ひろ子を堪能したけど、ちょっと寂しかったなあ。
posted by paraporocelloat 2007/06/26 15:21 [ コメントを修正する ]
Re:Wの悲劇
こんばんは!
映画をご覧になったんですね。
どうも全く違う話になっているみたいでびっくりしましたΣ(゜д゜|||)
私は、薬師丸ひろ子は、夏生(なつみ)という、一部探偵役を担っているような大学院生の役をしたのかと思ったのですが・・・・。
まったく原作にはない役柄を演じたみたいですね。

確かに夏生は、劇作家の卵という設定(別に劇作家の卵じゃなくてもよかったんじゃ・・・?と正直思うほど、あまり活かされてなかった気もしますが)だったので、その辺から無理やり(!?)役を作ったのかもしれません・・・。

映画をごらんになったのは最近ですか???
封切り直後に観客がそれだけっていうのは、かなりキビシイですね・・・(;゜д゜)
2007/06/27 01:58

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