以前に、「こういう本は買わない」という、誠にエラソーなことを書いたことのあるワタクシではございますが。
信念を曲げて購入してしまいました、タレント本ッ!!!Σ(゜д゜|||)
いや~、だって読みたかったんですよ。
テレビで色んなエピソードを聞いていると、「貧乏って、どんだけ~!?」ってな感じで(笑)
そう、もうお分かりですよね。
その本のタイトルは、『ホームレス中学生』 田村 裕著 (ワニブックス)。
漫才コンビ「麒麟」の、顔の長い方のかたですね。
よくテレビでもネタになさっていますが、中学二年の一学期の終業式の日、帰宅すると、家具が外に運び出されており、家の中に入れないようになっていた、というアノ話。
借金のため、家も家財道具一式も差し押さえになってしまったわけですが、その時のお父さんのセリフが凄まじくて、聞いた時には一瞬あっけに取られ、その後爆笑してしまった記憶があります。
「ご覧の通り、誠に残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいとは思いますが、これからは各々頑張って生きてください。・・・・・・解散!!」
・・・・・解散って(笑)
家族って、人が寄り集まって出来た団体だったのか!?
しかしそんな時に、これからどうするかをキチンと話し合っている田村兄弟はスゴイ。
家庭環境が悪くて非行に走ってしまった、なんて子供の話をよく聞きますが、こんな状況では、非行に走るヒマさえなかったんだな・・・・、とその過酷さに思いを馳せてしまいました。
ところで、テレビでは、公園暮らしのこと、そこで段ボールを食べたことなどのネタがよく語られているので、どれだけそこで暮らしていたんだろうと思っていたのですが、実際の公園生活は、夏休みの期間だけだったみたいです。
が、夏休みの40日間を公園で暮らしただけでも十分ですよね・・・・(;´д⊂)
しかも、中学二年生の子が、一人で何とかすると言い張って、お兄さん・お姉さんとは離れて暮らしたというのですから。
この本では、周囲の人達の優しさへの感謝や、早世してしまったお母さんへの思いが切々と語られ、その心温まるエピソードを通して、その後兄弟達がどのように生活していったのかが紹介されています。
正直、書き出しの辺りは、文章が下手くそで読みづらく、「幾ら興味があったとはいえ失敗したかも」と思ったのですが、読み進むにつれ、文章力もついてきたのか、読みにくさがそれほど気にならなくなりました。
(それでも上手くはないですが、本職じゃないんですから許容範囲かと。)
テレビでは、貧乏生活が完全に爆笑ネタになっていますが、この本では同じ貧乏ネタにも拘らず、その時の田村少年の心情が描かれているので、どちらかと言うと、しみじみとした読後感です。
テレビでは、貧乏の自分を突き放した感じで語っているので、結構心置きなく笑えるのですが、本の中では、かなり気持ちが入っているので、読者も笑うような心境にはならないという感じでしょうか。
全体的な感想としては、それなりに楽しめる本だと思います。
ただ1300円を出して買うのは・・・・・うーん(゜ー゜;)
近くに持っている人がいたら、借りて読むのが一番正しい選択だと思います。
もう30万部売れたらしいですからΣ(゜д゜|||)、探せば一人くらい持っている知り合いがいるのではないでしょうか?
・・・・・かく言う私も買いましたので、ワタクシを直に知っていらっしゃる皆サマ、母親から戻ってきた後でよろしければ、ご一報下さい(笑)
ちなみに、一時間かからずに読めてしまいます_| ̄|○
もう一冊ベストセラーの紹介です。
ガラリと毛色が変わりまして、『夜のピクニック』 恩田 陸著 (新潮文庫)。
恩田氏の本も、一時期のブームに乗って何冊か(というか結構)読んだのですが、正直、当たり外れの多い作家さんである点は否定できないと思います。
使い古された転生ネタだけど、何か恩田流の味付けでもしてあるのかと期待しながら読んでみると、そのままストレートに終わってしまった『ライオンハート』とか。
ゴチャゴチャしてるだけで、全く感情移入できない高校生ばっかりぞろぞろ出てくる『麦の海に沈む果実』とか。
(いつもながら、これらの本がお好きな方はスミマセンm( __ __ )m)
バラエティに富んだ作風なのはすごいと思うのですが、「だから?」と言いたくなるような作品が、ちょっと目に付くこともあり・・・・。
今回の『夜のピクニック』も、ちょうどそんな気持ちが大きくなっていた時に購入したまま、読む気になれず(そんなんだったら買うな、というお叱りはごもっともです(笑))、発売されてから一年ほど、本棚の肥やしになっていた一冊です。
まあナゼ買ったのかというと、最近注目度の高い「本屋大賞」受賞作だったからなんですけどね。
全国の書店員によって行われる、今年イチオシの本は?という投票の中で、最も得票数の多かった作品に贈られる賞ですので、受賞作は客観的に見ても、外れが少ないんですね。
で、引越しの際、肥やしから掘り起こされてきたので、「そろそろ読んでみよう」と手に取ったわけです。
恩田氏は、ジャンルとしてはミステリかと思うのですが、論理的推理により犯人を当てる本格系ではなく、宮部みゆき氏なんかの作風に近い、登場人物の心情やストーリー展開を重視するタイプの書き手です。
この『夜のピクニック』は、高校で年に一度行われるイベント「歩行祭」を舞台にした、いわゆる青春小説です。
歩行祭というのは、80キロの距離を、夜を徹して歩き続けるだけという、なんとも過酷な行事。
しかし、この「歩くだけ」という舞台装置が巧いな~、と思いました。
仲間とひたすら歩く。
しかも仮眠を取るだけで、真夜中も歩く。
こんな状況で生徒達にできるのは、ただもう仲間とのお喋りのみ。
必然的に、それまでは話せなかったことも、真夜中の雰囲気に押されて打ち明けてしまったり。
また歩くだけという過酷な状況の中だからこそ、一人一人の本性が見えてきたり。
参加する生徒達それぞれを綴っていく「青春群像」の一面も持っているのですが、物語の中心となる二人の男女が徐々にクローズアップされ、その二人を巡って交錯する、周囲の生徒達の思いもまた鮮やかに描かれています。
決して派手な作品ではありませんが、心地よい読後感の佳品です。
恋愛要素に頼っているところがないのもマル。
(高校生ですから、恋愛のエピソードももちろんありますが)
恩田氏の作品では(ちょっとマイナーですが)、実は私は『ドミノ』というパニック小説がスピード感もあって一番面白かったのですが、『夜のピクニック』も、なかなかだったと思います。
本当にこの作品は、設定の勝利という感じですね。
巧いッヽ(´ー`)ノ
【どうでもいいおまけ】
最近、『悪魔(デイモス)の花嫁』と『スケバン刑事』を置いているマンガ喫茶を発見しました♪
(やはり、それなりの年数を経た店舗であれば置いてあるようです(笑))
『スケバン刑事』は、まだ最初の方を読んでいるだけですが、『悪魔の花嫁』は既刊17冊を読破。
(一度書いてますが、『悪魔の花嫁』は、17年前に17巻が出たきりプッツリ途絶えていたため、未完の大作と言われていたのですが、何と今年に入って17年ぶりに再開されたのです((((゜Д゜;)))))
昔途中までは読んだな~、と思いつつ、全く中身を思い出せなかった『悪魔の花嫁』。
しかしその理由がハッキリ分かりました。
当時の私は相当なホラーマンガ恐怖症だったのですが。
「こりゃ昔はキチンと読めんかっただろう(゜ー゜;)」と思わずにはいられない恐ろしさ。
(いや、今回は平気でしたが(笑))
その当時、あまりの怖さに、飛ばし読みをしていたことは確実です(´Д`;)ヾ
人生の不条理、心の闇、そういったものが容赦なく描かれている作品で、背筋がゾクっとするような怖さがあります。
悪いことをすれば罰されるとか、心の素直な人間は報われるとか、そういう勧善懲悪的な要素は一切ナシ(笑)
いっそ気持ちのいいほどに、スパッと切ってくれちゃってます。
(しかも醜く傷ついた顔とか、死体とかの絵がキッチリ描き込まれている上に巧いので、恐ろしさ倍増ですΣ(゜д゜|||))
一話完結の連作集の体裁をとっているのですが、どの話も完成度が高く、「確かに少女マンガの最高峰の一つかも」と納得。
10代の多感な時期に読むと、その恐ろしさばかりが印象に残ってしまいそうですが、それなりに大人になってから読むと、本当に男女問わず楽しめると思います。
(ま、絵柄は少女マンガの王道ですので、男性の方はとっつきにくいかと思いますが、そのハードルを越えさえすれば、夢中になってしまう人も多いんじゃないかと)
20年以上前からあるマンガなので今更ですが、現在のイチオシマンガです(笑)
信念を曲げて購入してしまいました、タレント本ッ!!!Σ(゜д゜|||)
いや~、だって読みたかったんですよ。
テレビで色んなエピソードを聞いていると、「貧乏って、どんだけ~!?」ってな感じで(笑)
そう、もうお分かりですよね。
その本のタイトルは、『ホームレス中学生』 田村 裕著 (ワニブックス)。
漫才コンビ「麒麟」の、顔の長い方のかたですね。
よくテレビでもネタになさっていますが、中学二年の一学期の終業式の日、帰宅すると、家具が外に運び出されており、家の中に入れないようになっていた、というアノ話。
借金のため、家も家財道具一式も差し押さえになってしまったわけですが、その時のお父さんのセリフが凄まじくて、聞いた時には一瞬あっけに取られ、その後爆笑してしまった記憶があります。
「ご覧の通り、誠に残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいとは思いますが、これからは各々頑張って生きてください。・・・・・・解散!!」
・・・・・解散って(笑)
家族って、人が寄り集まって出来た団体だったのか!?
しかしそんな時に、これからどうするかをキチンと話し合っている田村兄弟はスゴイ。
家庭環境が悪くて非行に走ってしまった、なんて子供の話をよく聞きますが、こんな状況では、非行に走るヒマさえなかったんだな・・・・、とその過酷さに思いを馳せてしまいました。
ところで、テレビでは、公園暮らしのこと、そこで段ボールを食べたことなどのネタがよく語られているので、どれだけそこで暮らしていたんだろうと思っていたのですが、実際の公園生活は、夏休みの期間だけだったみたいです。
が、夏休みの40日間を公園で暮らしただけでも十分ですよね・・・・(;´д⊂)
しかも、中学二年生の子が、一人で何とかすると言い張って、お兄さん・お姉さんとは離れて暮らしたというのですから。
この本では、周囲の人達の優しさへの感謝や、早世してしまったお母さんへの思いが切々と語られ、その心温まるエピソードを通して、その後兄弟達がどのように生活していったのかが紹介されています。
正直、書き出しの辺りは、文章が下手くそで読みづらく、「幾ら興味があったとはいえ失敗したかも」と思ったのですが、読み進むにつれ、文章力もついてきたのか、読みにくさがそれほど気にならなくなりました。
(それでも上手くはないですが、本職じゃないんですから許容範囲かと。)
テレビでは、貧乏生活が完全に爆笑ネタになっていますが、この本では同じ貧乏ネタにも拘らず、その時の田村少年の心情が描かれているので、どちらかと言うと、しみじみとした読後感です。
テレビでは、貧乏の自分を突き放した感じで語っているので、結構心置きなく笑えるのですが、本の中では、かなり気持ちが入っているので、読者も笑うような心境にはならないという感じでしょうか。
全体的な感想としては、それなりに楽しめる本だと思います。
ただ1300円を出して買うのは・・・・・うーん(゜ー゜;)
近くに持っている人がいたら、借りて読むのが一番正しい選択だと思います。
もう30万部売れたらしいですからΣ(゜д゜|||)、探せば一人くらい持っている知り合いがいるのではないでしょうか?
・・・・・かく言う私も買いましたので、ワタクシを直に知っていらっしゃる皆サマ、母親から戻ってきた後でよろしければ、ご一報下さい(笑)
ちなみに、一時間かからずに読めてしまいます_| ̄|○
もう一冊ベストセラーの紹介です。
ガラリと毛色が変わりまして、『夜のピクニック』 恩田 陸著 (新潮文庫)。
恩田氏の本も、一時期のブームに乗って何冊か(というか結構)読んだのですが、正直、当たり外れの多い作家さんである点は否定できないと思います。
使い古された転生ネタだけど、何か恩田流の味付けでもしてあるのかと期待しながら読んでみると、そのままストレートに終わってしまった『ライオンハート』とか。
ゴチャゴチャしてるだけで、全く感情移入できない高校生ばっかりぞろぞろ出てくる『麦の海に沈む果実』とか。
(いつもながら、これらの本がお好きな方はスミマセンm( __ __ )m)
バラエティに富んだ作風なのはすごいと思うのですが、「だから?」と言いたくなるような作品が、ちょっと目に付くこともあり・・・・。
今回の『夜のピクニック』も、ちょうどそんな気持ちが大きくなっていた時に購入したまま、読む気になれず(そんなんだったら買うな、というお叱りはごもっともです(笑))、発売されてから一年ほど、本棚の肥やしになっていた一冊です。
まあナゼ買ったのかというと、最近注目度の高い「本屋大賞」受賞作だったからなんですけどね。
全国の書店員によって行われる、今年イチオシの本は?という投票の中で、最も得票数の多かった作品に贈られる賞ですので、受賞作は客観的に見ても、外れが少ないんですね。
で、引越しの際、肥やしから掘り起こされてきたので、「そろそろ読んでみよう」と手に取ったわけです。
恩田氏は、ジャンルとしてはミステリかと思うのですが、論理的推理により犯人を当てる本格系ではなく、宮部みゆき氏なんかの作風に近い、登場人物の心情やストーリー展開を重視するタイプの書き手です。
この『夜のピクニック』は、高校で年に一度行われるイベント「歩行祭」を舞台にした、いわゆる青春小説です。
歩行祭というのは、80キロの距離を、夜を徹して歩き続けるだけという、なんとも過酷な行事。
しかし、この「歩くだけ」という舞台装置が巧いな~、と思いました。
仲間とひたすら歩く。
しかも仮眠を取るだけで、真夜中も歩く。
こんな状況で生徒達にできるのは、ただもう仲間とのお喋りのみ。
必然的に、それまでは話せなかったことも、真夜中の雰囲気に押されて打ち明けてしまったり。
また歩くだけという過酷な状況の中だからこそ、一人一人の本性が見えてきたり。
参加する生徒達それぞれを綴っていく「青春群像」の一面も持っているのですが、物語の中心となる二人の男女が徐々にクローズアップされ、その二人を巡って交錯する、周囲の生徒達の思いもまた鮮やかに描かれています。
決して派手な作品ではありませんが、心地よい読後感の佳品です。
恋愛要素に頼っているところがないのもマル。
(高校生ですから、恋愛のエピソードももちろんありますが)
恩田氏の作品では(ちょっとマイナーですが)、実は私は『ドミノ』というパニック小説がスピード感もあって一番面白かったのですが、『夜のピクニック』も、なかなかだったと思います。
本当にこの作品は、設定の勝利という感じですね。
巧いッヽ(´ー`)ノ
【どうでもいいおまけ】
最近、『悪魔(デイモス)の花嫁』と『スケバン刑事』を置いているマンガ喫茶を発見しました♪
(やはり、それなりの年数を経た店舗であれば置いてあるようです(笑))
『スケバン刑事』は、まだ最初の方を読んでいるだけですが、『悪魔の花嫁』は既刊17冊を読破。
(一度書いてますが、『悪魔の花嫁』は、17年前に17巻が出たきりプッツリ途絶えていたため、未完の大作と言われていたのですが、何と今年に入って17年ぶりに再開されたのです((((゜Д゜;)))))
昔途中までは読んだな~、と思いつつ、全く中身を思い出せなかった『悪魔の花嫁』。
しかしその理由がハッキリ分かりました。
当時の私は相当なホラーマンガ恐怖症だったのですが。
「こりゃ昔はキチンと読めんかっただろう(゜ー゜;)」と思わずにはいられない恐ろしさ。
(いや、今回は平気でしたが(笑))
その当時、あまりの怖さに、飛ばし読みをしていたことは確実です(´Д`;)ヾ
人生の不条理、心の闇、そういったものが容赦なく描かれている作品で、背筋がゾクっとするような怖さがあります。
悪いことをすれば罰されるとか、心の素直な人間は報われるとか、そういう勧善懲悪的な要素は一切ナシ(笑)
いっそ気持ちのいいほどに、スパッと切ってくれちゃってます。
(しかも醜く傷ついた顔とか、死体とかの絵がキッチリ描き込まれている上に巧いので、恐ろしさ倍増ですΣ(゜д゜|||))
一話完結の連作集の体裁をとっているのですが、どの話も完成度が高く、「確かに少女マンガの最高峰の一つかも」と納得。
10代の多感な時期に読むと、その恐ろしさばかりが印象に残ってしまいそうですが、それなりに大人になってから読むと、本当に男女問わず楽しめると思います。
(ま、絵柄は少女マンガの王道ですので、男性の方はとっつきにくいかと思いますが、そのハードルを越えさえすれば、夢中になってしまう人も多いんじゃないかと)
20年以上前からあるマンガなので今更ですが、現在のイチオシマンガです(笑)
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