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2024/05/03 22:18 |
まるでSF
タワレコで面白いCDを発見しました。
特にバッハの演奏で有名な、カナダのピアニスト、グレン・グールドのCDです。

グレン・グールド(1932-1982)
1956年に発売された初アルバムである、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」のレコードで世界的なピアニストとしての地位を確立しました。ちなみに、廃盤→再発が繰り返される(もちろん売れないものは再発されません)クラシックのレコード(CD)において、グールドのこのアルバムは、発売以来一度も廃盤になったことがない稀な作品です。

グールドは決してスタンダードとはいえない奏法でしたので、評価は賛否両論の真っ二つでしたが、現在では、天才、独創性豊か、躍動感に溢れる、といったプラス評価に概ね落ち着いており、彼の演奏は「人類の文化的傑作」として、地球外生物に向けて発信された宇宙船ボイジャーにも乗せられています

しかしその一方で、異端児・変人の面も強く、極端な潔癖症で握手を求められても「Don't  touch me!」と決して交わそうとしなかったり(これはピアニストの中村紘子さんも自身の経験談として、その著書『ピアニストという蛮族がいる』(文春文庫)にお書きになっています)、極端に座面の低い折りたたみ椅子を好み、どこで演奏するときでも必ず持参していたり、真夏でもコートに手袋とハンチングボウを身に着けていたりと、エピソードには事欠かない人物です。

中でも特異なのは、演奏の一回性への疑問や、コンサート中の客席の音すらも理想の音楽を妨げるものとする考え方から、1964年を最後に、一切のコンサート活動から手を引き、没年まで音楽活動はレコーディングやラジオ・テレビなどのメディア上でしか行わなかったという点でしょう。

ちなみに、一度でも聴衆の喝采を味わってしまうと、それは演奏家にとって麻薬のような忘れられない経験となってしまい、舞台を後にしても、必ず結局は舞台に戻ってきてしまうそうです。グールドはそうならなかった唯一の演奏家だそうで、その点でも彼の特異性は際立っています。

さて、グールドを簡単にではありますが、ご紹介させていただきましたので、冒頭でお話しました「面白いCD」に戻りましょう。

「『グレン・グールドによるバッハ:ゴールドベルグ変奏曲』の再創造~ZENPH  RE‐PERFORMANCE」(ソニークラシカル)
このCD、グールドの作品として売られているのですが、何と録音年が2006年なのです!
グールドの没年は1982年なのになぜ!?

実はこれ、ゼンフ・スタジオというアメリカの音楽系のテクノロジー会社が開発した技術による、完全なるグールドの演奏の再現CDなんです。

オリジナルは、先述の56年発売の「ゴールドベルク変奏曲」。
この録音を解析し、演奏とノイズを完全に分離した上、打鍵の強弱やニュアンス(鍵盤を何ミリ押したかとか)、ペダリング、音符の長短、音の大小といった、数値化できる全ての要素をデジタル処理。
このデータをヤマハ製のコンピュータ制御ピアノで演奏したものが、今回発売されたCDというわけです。(今時の自動ピアノはすごいんですね((((゜Д゜;)))))

ま、グールドは必ず歌ったりハミングしたりしながら演奏しているので(バッチリどのCDにも彼の声が一緒に録音されてるので、素人の私でも『これはグールドだ』と分かります(笑))、彼の歌声を恐らくノイズとして分離してしまった(笑)ゼンフ版は、味こそなくなったものの、クリアにピアノ音が聞こえる点で、どちらがいいかは別にして、一度聴いてみて損はないと思います。

さて、驚きはコレだけではありませんでした。
どうも、「ヘッドホンで聴く」という状況に特化した最先端技術によって録音されたCDのようで。(難しい事は良く分かりませんが、バイノーラル録音というらしいです)
タワレコで試聴した瞬間に、あまりのすごい臨場感・迫力に、本当に冗談抜きで背中がスーッと寒くなり、心臓がバクバクいいましたΣ(゜д゜|||)
まさに度肝を抜かれたというか・・・・。音も非常にクリアです。しかも目を閉じると、自分がピアノの前に座っているような感覚で音が聞こえてきます!!

「グールドっていってもコンピュータの演奏なんでしょ~?」と、あまり興味も無かったはずなのに、聴いた後、CD手に取ってました・・・・(⊃д⊂)
そして、もちろん買ってしまいました・・・・
クラシックのCDで3000円って、めっちゃ高いのに・・・・・・_| ̄|○

そして家に着くのも我慢できず、帰りにいそいそと取り出して、自分のCDウォークマンで聴きました。
目指せ「あの感動をもう一度ッ!」です(笑)

最初の一音が始まるまで、本当にドキドキしてました。

が・・・・・・・・・・・
聴こえてきたのは、フツーにクリアなピアノの音でした・・・・・・・・_| ̄|○

タワレコの視聴用ヘッドホンって、あんなにボロくなってるから騙されたけど、実はすごいヘッドホンなんですね(涙)
この音質の落差は、ヘッドホンの性能以外には考えられない・・・。
やっぱり高性能のヘッドホンって、ポータブルタイプでも嵩高いから、私は小さいインナーヘッドホンを愛用してたんですが、 今日買い換えることを決意しました。
音質良くない事は気付いていたんですが、(そして、敢えて見ないフリしてたんですが)、まさかここまでヒドいとはッ(怒)
同じものを聴くと、本当に残酷なほどに違いがよく分かります・・・・。

さて、コンピュータの演奏するグールドのCD。
芸術とは何かという問題について、大きな波紋を呼びそうです。

生身の人間が演奏するから意味があるのか。
それとも、既に他界している演奏家の演奏を、何十年・何百年後でも生音で体験できるという点に価値を置くのか。
また、そうした演奏を、そのオリジナルの演奏家のパフォーマンスとして扱う事が出来るのか。

「客観的には完全なグールドの再演」というこのCD自体の評価も、どうなっていくのか気になるところです。
ちなみに私自身、ゼンフに対する評価姿勢は、全く定まっていません。
でも、生身の人間の生音のほうが好きですけど。ドラマ性がありますしね。
純粋に音楽だけで、音楽を聴くってことは素人には至難の業ですし(笑)←その辺の事は「神童 2」の記事で触れてますので、興味のある方は、是非ご一読下さい_(._.)_

そして、どれほどすごい音質なのか、気になる方はタワレコへGO!(笑)
今ならまだ、試聴コーナーにあるはずです~!!
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2007/04/13 03:09 | Comments(1) | TrackBack() | 音楽

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コメント

人間業をそこまで数値化できて,しかも,それを本物のピアノで演奏できてしまうとはすごい技術ですね.驚きです.しかし,そのようなCDを作って売ることについて,ロイヤリティとかはどうなっているんだろうなどと別のところも気になってしまいます(笑).

ちいすけ様が書かれているように,グールドは何かと話題になるピアニストですが,私はグールドの演奏を一度も聴いたことがありません.このCDの演奏とオリジナルの録音を比べてみるのは面白そうですね.
話はちょっと違いますが,電子ピアノの鍵盤を本物のピアノのタッチ感に近づける技術もこの5年くらいでかなり進歩したようですよ.
posted by 石at 2007/04/14 17:19 [ コメントを修正する ]
Re:すごいですね
こんばんは!
毎回楽しいコメントをありがとうございます♪
今回なかなかPCの前に座れず、お返事が遅くなってしまいました。

石様に言われるまで気付かなかったんですが、ホント、誰のロイヤリティーになるんでしょうかね???グールドの親族とかですかね・・・。グールドの関係者を集めて、CD発売前にリサイタルも開催されたようなので、親族とかはそれなりにいるんだと思いますが・・・

私の実家には電子ピアノがあるんですが、確かに一昔前のいかにも「鍵盤はプラスチック製で~す」っていうのとは違いますね。でもそれよりもさらに進化してるんでしょうね。
職業ピアニストは、やっぱり電子ピアノって訳にはいかないのでしょうが、一般家庭には、騒音問題とかもありますから、電子ピアノがピッタリですね。そのうち、電子ピアノで育ったピアニストとか出てくるんですかね・・・?(笑)
2007/04/18 00:42

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